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〔PHOTO〕gettyimages

健康的な生活は自己表現のひとつのありかた

最近、都会に住む20~30歳代の人たちのあいだでは、ランニングや自転車が流行り、健康的な生活を志向する人たちが急速に増えている。都市文化が健康志向になってきているというのは、21世紀になってから現れてきた大きな文化潮流と言えるのではないか。

これは、社会が不安定化していることの裏返しなのかもしれない。不安定な時代だからこそ、持続的にきちんと自立して仕事をしていくためには、健康でなければいけない。終身雇用が崩壊していくなかで、身体を壊したらもはや会社は救ってくれないということに気がつき、自己コントロールの重要性が高まっているということではないだろうか。

加えて、健康的な日常を送っているということが、自分のブランディングになってきているということもある。しばらく前から、「ソーシャルがファッションを殺す」というようなことを言われるようになってきている。

1990年代ごろまでは、おしゃれな服や高い価格のブランドのバッグを持っていれば、「この人お金持ちなのだろうな」「おしゃれだな」と他人から見られ、それが自己表現になるという考え方が一般的だった。ところが2000年代なかば以降に、フェイスブックやツイッターなどのSNSが普及してくると、いくら晴れの日は着飾っていても、日常にどんな服を着てどんな生活を送っているのかがすぐにわかってしまう。だからスペシャルな場面で着飾るよりは、日常をきちんと構築していたほうが評価が高くなるという現象が起こっている。

これは食事も同じで、女性とデートする時にいくら高いフレンチレストランで見栄を張っても、日常にコンビニ弁当ばかりを食べていれば、「お里が知れる」というようなことになってしまうのだ。

ランニングや自転車などでからだを鍛え、健康的な生活を送るというのも、そういう自己ブランディングの一環として位置づけられるようになっている。つまり自分が健康的な生活を送っており、健全であるということが、自己表現の一種になっているということである。

「勝利」ではなく「楽しみ」を求めるランニング文化

そういう意味で、ランニングや自転車の文化はSNSと紐づくかたちで、新しいタイプのコミュニケーションの道具のようになってきていると感じる。個人で日々走っていても、それがフェイスブックなどを介してほかのランナーとつながり、お互いに励まし合ったり競争したりといったことが行われている。

スポーツメーカーの「ナイキ」が販売しているフューエルバンドという製品は、腕時計のように手首に巻いて運動量を常時計測できるものだが、この製品には自分が走った距離や運動量などを、インターネット上で友人らと共有できる機能がある。「友人は今週毎日走って○○キロも稼いでいるのに、自分は仕事が忙しくて目標達成できなかった。来週頑張らなければ」といったモチベーションにもつながるのだ。・・・・・・この続きは『現代ビジネスブレイブ イノベーションマガジン』vol091(2014年8月28日号)に収録しています

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