ソーシャルグッドという今世紀型のブランディング~重要なのは発信者の"本気度"
カンヌ・ライオンズ 2014に見るマーケティング潮流(後編)
「CannesLions 2014」HPより

⇒(前編)はこちらからご覧ください。

同フェスティバルで、ソーシャルメディアと同じくらい重要なトピックとして語られ続けるキーワードに「ソーシャルグッド」がある。これも2010年前後からやたら強調されるようになった。個人的には「一時的な流行か?」と勘ぐる部分もあったが、何年も取材していて、「どうやらこの流れももはや定着したのでは?」と感じている。

「ソーシャルグッド」はいまいち定義のハッキリしない概念だ。社会貢献のイメージが強いCSR的活動と販促色の濃いコーズマーケティング的施策の双方がそこに含まれているように思う。さらに広い意味での社会的メッセージの発信も、ソーシャルグッドにカテゴライズされるケースもあり、正直捉えどころがない言葉なのだが、私はこれを「今世紀型のブランディング」と考えると見通しがスッキリすると思っている。

顧客に対して誠実な姿勢でアプローチする

そもそもブランディングとはなんだろう? ざっくり言うと、あるビジョンやフィロソフィーに基づいたメッセージを持続的に発信することで、その企業の人間性やキャラクター、いわば顔つきをクリアにし、数値化できないイメージ(「カッコいい」「美しい」「面白い」など)を社会に定着させていく行為がそれにあたる。だとすれば、いまはそこに「世の中のためになってる」という要素を盛り込まなければ、そしてそれを以前より強めに打ち出さなければ、カスタマーとのコミュニケーションが成立しにくい時代だと言えるだろう。

身近にある真逆のケースで考えよう。ひとたび"ブラック企業"というイメージが定着してしまえば、その会社の様々な事業活動への影響は大きい。これは負のブランディングである。そして、ソーシャルメディア(インターネット)が発達した現代においては、ある情報がひとたびツボにハマると凄まじい勢いで広まるため、それがネガティブな内容であった場合、時間をかけてコツコツと築き上げたブランドが容易に崩壊するケースも見受けられる。

みなさんも、ソーシャルメディアなどで企業によるマーケティング活動そのものが、「悪」のイメージで語られているシーンを目にしたことがあるかもしれない。事実、手法などの点で際どい施策も存在することは否定しないが、ユーザーの誤解によって、真っ当な事業や企業コミュニケーションまでもがそこにカテゴライズされかねない昨今の時勢である。ブランドの価値毀損のリスクは色んなところにある。

具体的な炎上事例はここでは挙げない。しかしそういった情報環境下において、顧客コミュニティに対して誠実な姿勢を示し、"ホワイト"な活動も積極的に行いオープンにしていくことが、企業にも求められることになる、という流れもご理解いただけるのではないだろうか? その意味でソーシャルグッドは、その言葉のイメージと違って守りではなく、攻めのマーケティングである。

ソーシャルグッドがここまで言われる背景には、財政難による公的サービスの縮小といった要素もありそうだ。格差社会化、ライフスタイルの多様化など、従来型の社会施策が機能しにくくなっているケースも多い。これは世界的な課題でもあり、その領域に非営利組織だけでなく企業も積極的に参入することが期待される時代である。一方で、ブランドがそのアイデンティティ(社会的存在理由)を顧客に対して明確にする上でも、ソーシャル施策は有効な手段となりうる。その両サイドからの見えざる手の握手が、クリエイティブとマーケティングのグローバル規模のコミュニティ、つまりカンヌにも反映されることとなる。