賢者の知恵
2014年08月29日(金) 河尻亨一

ソーシャルメディアの活用やテクノロジーの新規性で競う時代はもう終わり~結局コンテンツが命

カンヌ・ライオンズ 2014に見るマーケティングの潮流(前編)

upperline
「CannesLions 2014」HPより

現在進行形のグローバルなマーケティング・トレンドを俯瞰するために、カンヌ・ライオンズ(以下、カンヌ)は量と質の両面で充実したフェスティバルだ。カンヌは広告産業を対象とした世界最大級のアワードとして知られ、毎年6月の中旬に南仏のカンヌ市で1週間に渡って開催されている。

カンヌはクリエイティブの賞である。ゆえにアイデアの斬新さやキャッチーさも含めた表現のクオリティが重視される。国によるカルチャー、商習慣の違いもあるため、そこで評価されたものすべてが日本でワークするというわけではないが、勢いのある企業や業種、経済成長著しい国々のマーケティング施策からは攻めの姿勢が伝わってくる。その意味では世界のビジネス動向を、数値化されない"別の物差し"で把握する上でも参考になると言えるだろう。

筆者は2007年より同フェステティバルを取材している。今年は97ヵ国から3万7000を超えるキャンペーン等が集まり、1万人以上が参加。興味深いプロジェクトも多数見受けられた。そこではいま何が起こっているのか? 世界の広告・マーケティング産業のキーパーソンたちはどんなことを考えているのか? 主な受賞作を紹介しつつ、「ソーシャルメディア」と「ソーシャルグッド」という2つのテーマから考察してみたい。

ソーシャルメディアは時代遅れ?

マーケティングにおけるソーシャルメディアの活用は、カンヌでもここ数年、最も重要なトピックとして扱われている。その傾向が明確になったのは、オバマの大統領選キャンペーンが注目を集めた2008年以降だ。いまや欧米だけでなく、アジア諸国や中東、南米、アフリカなどでもSNSの利用率が著しく上昇しているのはご存知の通り。今年フェスティバル中に計300回以上開催されたセミナーにおいても、例年通りそれが主な関心事となっていた。

カンヌをウオッチしていると、SNSがすでに世界の暮らしに溶けこんでいる生活必需品なのだということを思い知らされる。スマートフォンなど、モバイルの普及がその動きを加速しているのは言うまでもない。

そしてここ数年、アワードにエントリーされたキャンペーンを紹介するケースビデオでは、その施策に関する情報が「Twitte_rで何回リツイートされた? 」「Facebookでどれだけシェアされた? 」といったソーシャルメディアでの成果をアピールすることが暗黙の"お約束"となっている。SNSだけでなく、新しいテクノロジーを用いた施策はそれだけで期待を集めやすい面があった。

今年も基本的にはその流れは変わらなかった。しかし数年前までなら通用した、ことさらなSNS活用アピールはすでに時代遅れになりつつある印象も受けた。大切なのは、「それをどう使ったか? 」「顧客やユーザーにどういったメリットをもたらしたか? 」といった中身の話だ。

次ページ そのあたりの空気感をお伝えする…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事