笹井芳樹(理研 副センター長)を追い込んだ「小保方への愛情」と「山中教授への対抗心」「逃げ場」も「勝ち目」もない。あるのは絶望だけだった

2014年08月30日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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「笹井さんほどの人が、STAP細胞の危うさを見透かせないはずはない。それなのに、なぜ道を誤ってしまったのか。自分の研究者としての名声を天秤にかけて、仮にすべてを投げうっても足るだけの魅力が、小保方さんとSTAP細胞にはある。笹井さんがそう思い込んでしまったのだとしか考えようがありません」(前出の笹井氏知人)

STAP論文の疑惑が浮上してからも、笹井氏は小保方さんをかばい続けた。

画像の捏造疑惑が持ち上がり、理研がデータの提出を迫った2月中旬には、笹井氏は問題の画像を差し替えておくよう内々で小保方さんに指示するなど、「隠蔽工作」ととられかねない行動を取った。

また、4月になって小保方さんが「STAP細胞の作成に200回以上成功している」「STAP細胞はあります」と豪語した直後、笹井氏も会見を開いて小保方さんをフォローするように「STAP細胞はReal Phenomenon(本物の現象)」だと主張していた。

「疑惑の根幹部分について、小保方さんと笹井さんが口を揃えて『それは若山(照彦・山梨大学教授)さんの担当だった』『世界の若山さんを信じた』などと話したのも印象的でした。見方によっては、口裏を合わせて若山さんに責任転嫁をしているようにも見えましたから」(国立大学理学部教授)

だが、2人に名指しされた若山氏は、後にSTAP細胞なるものが、まったく「別のもの」である疑いを提示して反撃し、結果として笹井氏も小保方さんも次第に追い詰められていく。

「一部報道にあるように、笹井さんと小保方さんの2人は1年間で55回出張し、約500万円が支出されていましたが、彼はそうした研究費の使途についての説明も公にはしませんでした。

小保方さん宛ての遺書には、『新しい人生を歩み直して』と記されていたと言われています。最後の最後まで彼女のことが気がかりでならなかったのでしょう」(全国紙社会部記者)

「山中優遇」に異議

笹井氏が「暴走」としか思えないほどSTAP細胞に入れ込んだ背景にはもう一つ、京都大学iPS細胞研究所所長である山中伸弥教授への対抗心もあったと思われる。

山中教授がiPS細胞を作成する前から、笹井氏は再生医療の第一人者としてトップを走り続けてきた。研究者として脚光を浴びてきたのは山中教授ではなく笹井氏だったのだ。しかしiPS細胞の発表を機に、形勢は一気に逆転した。

笹井氏は'08年、文科省のライフサイエンス委員会で、iPS細胞ばかり優遇されている状況に対し異議を申し立てている。笹井氏は会議のなかで、山中氏を目の前にしながら、「(iPSばかりに注目せずに)もっと高所に立った、鳥の目が必要ではないか」と政府の方針に異を唱えたという。

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