太陽だって眩しくない!? 知っているようで知らない、モグラの生態
~モグラ博士に聞くモグラの話~
〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages
国立科学博物館動物研究部研究員
川田伸一郎先生

1973年、岡山県生まれ。弘前大学理学部生物学科卒業後、名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程修了。農学博士。現在、国立科学博物館動物研究部研究員。人呼んで"モグラ博士"

「モグラにサングラス」は、まんざらでもない!?

松尾貴史(以下、松尾) 今回のゲストは人呼んで"モグラ博士"、川田伸一郎先生です。モグラの研究というと、どういったことをされているのでしょう。生態の研究ですか?

川田伸一郎(以下、川田) 生態の研究もしますが、主に世界にモグラが何種いるのかということです。

松尾 今のところ、何種ぐらいなのでしょう?

川田 世界中で、約40種といわれていますが、まだまだ増えそうです。ちなみに日本にいるのは、8種です。

松尾 40のうちの8種って、日本はモグラの国ですね(笑)。

川田 ええ。日本は地形的にもユニークで、生き物が棲む環境として、すごく魅力的だといえます。

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松尾 モグラは地中にいるので「地上に出てきたら眩しいに違いない」というイメージからか、マンガやイラストでは、よくサングラスをかけていますよね。実際のところ、モグラの目はどうなっているのでしょうか?

川田 実は、サングラスのイメージは、まんざら間違いでもないんです。

松尾 えっ、そうなんですか!

川田 モグラの目は、まるでサングラスをかけているように、薄い皮膚で覆われているんです。だから、そもそも目も開きません。

松尾 それは知りませんでした。

川田 基本的に、モグラは土のなかでほぼ一生を終える生き物なので、太陽を見ることもまずないです。ちなみに、モグラは光をほとんど認識していません。だから、明るい場所で飼育することも可能です。たまに、"モグラは日の光に当たったら死ぬ" と思っている方もいるようですが、あれはさすがに迷信です(笑)。

松尾 ドラキュラじゃあるまいし、ということですね(笑)。

岡村仁美アナウンサー(以下、岡村) 目が薄い皮膚で覆われているとのことですが、もともと目はあったけれど、必要がなくなって皮膚に覆われてしまったということなのでしょうか?

川田 ええ、おっしゃるとおりです。地中で目が開いても土が入りますし、そもそも地中には光もないので、目が邪魔になったのでしょう。

松尾 たとえば「今日は太陽が照っているな」とか、「暑い日だな~」といった感覚はないんですか?

川田 そういった感覚を持つことも、地上に出ないので難しいでしょうね。土のなかは、比較的温度が安定した環境といえます。夏と冬とで変化があるとしても、冬場に棲む場所を、少し深い位置に設定する程度でしょう。

松尾 一つうかがいたいのですが、モグラは穴を掘って進むんですよね? そのときに出た土はどう処理しているのですか?

川田 野山などで土が盛り上がっているのを見かけたことはないですか? あれは俗に"モグラ塚" と呼ばれているもので、まさに掘った土を、モグラが穴から地上に押し出したものです。

松尾 見たことがあります! ボコッと盛り上がった土の山ですよね。

岡村 ゴルフ場にもありますよね。

松尾 ちなみに、モグラは穴を掘りながら進むわけですよね。ということは、頻繁に土を外に出しているのでしょうか。

川田 それが、いつもというわけではないんです。モグラは常に穴を掘っているというイメージがあるかもしれませんが、通常はすでに完成しているトンネルのなかをずっと巡回していて、たまに穴を修理したりする程度です。修理の際などに出た余計な土は、ある程度まとまったところで外に捨てていて、それがモグラ塚なのです。

松尾 へ~、そうなんですか。

鼻先にある粒の一つ一つが「アイマー器官」

川田 彼らのトンネル網は、100m規模、200~300mもの距離があるともいわれています。そのなかを巡回しながら、トンネル内に落ちてくるミミズや、壁の付近にいる虫をほじくり出して食べて、生活しているのです。

岡村 先ほど、モグラは光を感じないとおっしゃいましたが、エサはどうやって探しているのでしょう?

川田モグラにとって重要な感覚器官は、鼻先にある非常に小さな「アイマー器官」という部分です。それが鼻先に複数ついていて、地中の微弱な振動を感じとり、エサを捕獲しています

松尾 においで感じているのだと思っていました。

川田 彼らは鼻でにおいではなく、振動を感じているんですね。

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