自動運転車は移行期が危険---人から機械への「制御権の移譲」をどう行うべきか

グーグルが今年5月にお披露目した「ステアリング(ハンドル)や制御ペダルの無い自動運転車」に、米規制当局から注文がついた。同社が来月にも開始すると見られる、この自動運転車の私道での走行実験を前に、「(車に乗った)人間が即座に車を制御できる装置を装備せよ」との命令が、カリフォルニア州の交通局(Department of Motor Vehicles)から下されたのだ。

●"For Google's Self-Driving Cars, It's a Bumpy Trip" THE WALL STREET JOURNAL, Aug. 24, 2014

要するに「普通のクルマ同様、ちゃんとハンドルや制御ペダルをつけろ」と言われたわけだ。これ自体は、現時点の常識から見て、しごく真っ当な要求に思われる。どれほど安全と言われたところで、100%事故が起きないとは保証できない。たとえばクルマの暴走など何か異常事態が発生したときに、それに乗った人間が何もできないまま衝突の瞬間を待ち受けるというシーンは想像するだけで恐ろしい。

上記グーグルの自動運転車は小型車だが、大勢の人が乗ったバスや荷物を満載した大型トラックとなれば尚更だ。いくら自動運転に切り替わるからと言って、それらの車両からハンドルやブレーキ・ペダルが消えたとしたら、(少なくとも現時点では)「やめてくれ!」と言いたくなる人が大半だろう。

完全自動化でも段階的自動化でも危険はある

今回の一件はそれ自体大したニュースではないが、今後、自動運転車の実用化が近づくにつれ、実に様々な問題が持ちあがってくる前兆と見ることができる。例によってグーグルのアプローチは極端だ。最初から100%自動運転に切り替えるという姿勢を見せるために、ハンドルも制御ペダルもないクルマを作ってみせた。これが一般的なユーザーや規制当局との間で摩擦を引き起こすのは当然だ。

が、これとは逆のアプローチ、つまり「段階的に自動運転に移行していく」というアプローチにも、相応の危険性はあり得る。日本や欧米をはじめ、世界の主要自動車メーカーは「最初は高速道での自動走行やパーキング・スペースでの自動駐車などから入って、徐々に運転自動化の度合いを高めていく」というアプローチをとっている。しかし、このように運転の制御権を段階的にヒトからクルマに移行することは、むしろ危険性を助長することにならないだろうか。

たとえば高速道での長時間に及ぶ自動運転に慣らされたユーザーが、高速道を降りて、普通の道での自力運転を迫られた場合、それに応じた態勢や心理状態へとスムーズに移行できるだろうか。あるいは「車線キープ」や「前方を走るクルマの追尾」などは自動運転でできるが、「障害物を回避するためにハンドルを切る」ときには自力運転となった場合、ユーザー(ドライバー)が混乱する恐れはないだろうか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら