過去の従軍慰安婦報道とその対処を巡って、朝日新聞が猛批判を浴びているが、同社から約2ヵ月前、5年ぶりに新社長を迎え入れたばかりのテレビ朝日にも陰りがさしている。
視聴率が目に見えて低下しているのだ。昨年は開局以来で初となる年間視聴率2冠王を得たが、今年の上半期は3冠のすべてを日本テレビに奪われてしまった。
最近の全局の番組を視聴率順に並べてみると、上位30位以内にテレ朝の番組がほとんど見当たらない。たとえば8月11日から17日の1週間はゼロ。ドル箱の『報道ステーション』もベスト30に食い込めなかった。
もともと『報ステ』はニュース番組という特性上、ほぼ常時10%以上の視聴率を得る一方で、15%を超える数字は取りにくい。まして夏枯れでネタが乏しかった時期だった。とはいえ、それらを差し引いても最近の『報ステ』は失速感が否めない気がする。
ネット上では昨年4月から番組に登場した恵村順一郎・朝日新聞論説委員への批判や不満が目立つ。月曜から木曜までのコメンテーターを任せられており、『報ステ』の顔の一人である。政治畑が長く、与党担当や外務省担当のキャップなどを務めており、新聞記者としては極めて優秀な方らしい。とはいえ、テレビという全く違うメディアに向いているかどうかは別次元の話だ。
キャスターの横に朝日新聞のコメンテーターが座るのは、前身の『ニュースステーション』からの伝統。が、それが始まってから既に30年近くが過ぎている。長所短所こそ違うが、もはや新聞報道のほうがテレビ報道より勝ると考えている人は少数派だろう。それでも朝日新聞のコメンテーターが必要なのだろうか? 恵村氏の問題というより、朝日新聞の重しが番組に不可欠なのかどうかが問われている気がする。