国連が法規制を求める「ヘイトスピーチ」は、もはや「ネットの娯楽」では済まされない!

2014年08月26日(火)
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2014年5月11日に大阪で行われた在特会の「ヘイト街宣」に姿を見せた桜井誠会長(撮影:秋山理央)

ネット上の誹謗中傷と路上の「ヘイト街宣」に歯止めを

在日に対するヘイトスピーチをめぐって、個人が賠償を請求するケースは初めてだというが、会見などで李さんは、提訴に踏み切った理由をこのように述べていた。

「提訴した理由はふたつ。ひとつはインターネットに氾濫するヘイトスピーチを止めたかった。私自身、今なおネット上のヘイトに苦しめられており、特に『2ちゃんねる』などに掲載された差別発言を集めた『まとめサイト』には酷く傷つけられた。ネット上にヘイトを撒き散らす人たちの多くがそうであるように、まとめサイトの管理人の多くが匿名。彼らは、自らの身を安全な場所に置きながら差別を煽り、しかもそれを商売にしている。許せないと思った。

ツイッター上の(李さんに対する)差別発言や誹謗中傷も毎日で、多い日には数百件、少ない日でも50件以上の差別的、侮蔑的なメンションが飛んでくる。中には"殺害予告"も含まれるが、彼らの標的になった場合、普通の人には自分を守る術がない。反論するとさらに攻撃されるので、そのうちに黙ってしまう、いわゆる『沈黙効果』が広がるのも良くないと思った。

私が今回訴えることによって『ネット上の差別発言や誹謗中傷は訴訟の対象になる』、さらに『ネット社会に匿名というものなく、調査すれば個人を特定できる』ということが分かれば、再発防止につながるのではないかと考えた。

もうひとつは、ネットから路上に飛び出した在特会らレイシストによる『ヘイト街宣』にも歯止めをかけたかった。彼らと行動を共にした28歳の青年は、私をツイッター上で脅迫した容疑で書類送検され、彼らのヘイト街宣に参加した女子中学生は昨年2月、鶴橋駅前で『朝鮮人を虐殺する』と叫んだ。ベビーカーを連れた女性を取り囲んで恫喝し、『朝鮮学校無償化除外反対』を訴えるパレードに突っ込んだ18歳の少年は、その後、別の容疑で逮捕され、少年院に送られた。

その少年、少女らを煽動し、その将来を滅茶苦茶にしたのは一体、誰なのか。在特会をはじめとする、いわゆる『行動する保守』の代表者たちだ。彼らも、まとめサイトの管理人と同様、自らは安全な場所にいて、いまだに差別意識や憎悪を煽り立てている。

さらに彼らは京都朝鮮学校を襲撃し、多くの子供たちや保護者、教員の心を傷つけた。裁判では彼らのヘイトスピーチが断罪されたが、代表者らは個人として、何の責任も問われていない。そして、その後も在特会らは反省もないままに『表現の自由』の名の下に、毎週のようにヘイト街宣を繰り広げている」

李さんのいう「京都朝鮮学校を襲撃」については、以前の稿でも触れたが、09年12月、在特会の会員らが京都市の「京都第一初級学校」(当時)に押しかけ、子供たちに「北朝鮮へ帰れ」、「保健所で処分しろ」と罵詈雑言の限りを尽くした事件のことだ。レイシストたちによる言葉の暴力が、どれほど深く幼い子供たちの心を傷つけたかについては、中村一成著『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件---〈ヘイトクライム〉に抗して』(岩波書店)に綴られているので是非、ご一読いただきたいが、朝鮮学校側は、在特会などを相手取り、提訴した。

一審の京都地裁は13年10月、在特会の会員らが朝鮮学校の子供たちに浴びせ続けたヘイトスピーチを〈いずれも、在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下、差別発言を織り交ぜてされたもの〉と厳しく指弾。約1,200万円という異例の高額賠償を命じた。そして二審の大阪高裁も、子供たちは〈人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を被った〉と認定。一審判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。

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