「女性の部下が泣くとき、上司はどう対応すればいいの?」
~女性は認められたい相手だからこそ泣く?~

元・リクルートのワーキングマザー堂薗稚子さんによる特別コラム【第1回】

女性部下が泣くとき

21年のサラリーマン経験がある。私自身が女性社員としてマネジメントされる立場だったこともあったし、マネジメントするサイドとしても多くの女性社員に接してきた。その両方の立場から、「女性部下が泣くのはなぜか、上司はどう対応すればいいか」を考えたい。

私も若い頃は、上司とのやり取りで泣いてしまったことが何度かあるし、女性メンバーとのやり取りで泣かれてしまったことも幾度となくある。最近は、男性部下の涙も見る。男性部下は、叱責の場ではなくお酒を飲んでいるときや面談時に、しみじみとした会話から生い立ちなどに触れはじめ、自分の話の途中でふいに声を詰まらせるパターンだ。この場合は私はとにかく黙っていることにしている。

不思議なもので、顧客から叱責を受けても、客先で泣いてしまった記憶はない。それは女性メンバーも同じで客先を出た後、あるいは電話を切った後に泣くことはあっても、顧客の前で泣かれたという経験はほとんどない。

「泣くなんてビジネスマンとしてあるまじき行為」「だから女性部下は面倒くさい」「その後の関係がぎくしゃくする」といった話と共に、「こういう時どうすりゃいいの?」と聞かれることがある。

私の経験から言えば、上司にとって女性部下に「泣かれる」ということは、関係性が向上する絶好のキッカケだと言っていいのではないかと思う。顧客の前ではガマンできるのに、上司の前では泣く。それは上司との関係を「ホーム」と認識しているからに他ならないのだから。

女性が仕事で泣くときは、「悔しい」といった感情が主のように思う。ミスをして叱られたからしょんぼりしたり、その上司が恐ろしくなって泣くということはあまりない。上司から叱られたとして、自分なりに懸命に「なぜこうなったか」「どうすれば良かったと思っているか」論理的に話したいと思う。しかし、感情が論理的に話すことを妨げる。それが自分でよくわかる。わかりにくい話し方になってしまっている、相手の事を知らず知らず睨みつけている、そんな自分がよくわかって焦ってくる。

「ああ、このままではわかってもらえない。その上、涙が出てしまいそうだ。そんなのいやだ!」と涙に集中してしまった挙句、とうとう鼻の奥がつんとしてくる。相手が明らかに困った顔をして黙り込む。そして優しく、「別にあなたが全部悪いと言っている訳じゃないんだよ」などと言ってくる。そうなると悔しさは全開してしまう。もう自分の涙が上司に与えてしまった印象や影響が残念でたまらなくなり、一度こぼれてしまった涙をとめられなくなるのだ。

男性部下はどちらかというと、説教された後、「人として」肯定される会話になると涙腺が緩む気がする。「あなたはもともと、こういうところがとても優れていると思っている」などといった会話の後の涙だが、これは小学生がひどいテストの結果を叱られた後、「あなたはやれば出来る子じゃない」と母に優しく言われると泣きたくなるのと似ているのかもしれない。

女性部下は相手の言葉に泣くのではなく、もっと利己的に泣く。自分の思いをうまく伝えられないもどかしさに泣く。下手をすると、そんな状況に置いた上司を憎たらしく思ったりする人までいるが、たいていは自分に悔しくて泣いているのだ。

だから上司は、必要以上に自分を責めたり焦ったりしない方がよい。もし泣かれても、黙り込んだり優しく話しかけたりしなくていい。期待している女性部下だったとしたら、普通に「改めて時間を取った方がいいか」だけを確認し、周囲の目を配慮した上で、「顔を洗っておいで。待ってるから」と言えばいい。そしてその後は態度を変えずに話を続けることだ。

女性部下が上司に見せる涙は、恋人とケンカしたときに流す涙と似ている。「認めて欲しい」という気持ちの表れであり、自己主張の1つなのだ。そしてそれがうまくいっていない、と察したときに感じる自己嫌悪の涙だと思う。怒鳴ったり、言い分も聞こうとせずに責め続けたりしたのではなく、ごく良識的に叱ったのならば、泣かれた上司は「認められたい相手」と認識されているというわけだ。だからこそ、「認めて」話を続ける。うんざりさせてしまったと感じさせたり、子ども扱いをされたような気分にしてしまっては、せっかく、女性部下が心を開こうとしている機会を逃してしまう。「ホーム」と認識されているという自信を持って、愛ある叱責をしていただきたい。

『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』
著:堂薗稚子
KADOAKAWA/税抜価格:1300円


「仕事も子育ても両立したい! 」と思っても現実はなかなか難しいもの。それにも負けず、こどもを育てながらカンパニーオフィサーになった著者の働き方を紹介。

・ワーキングマザーは究極のマルチタスク
・ワーキングマザーのキーワードは「生産性」
・産休&育休中は割り切って楽しむ
・復帰後にまずやるべきことは「時間を守る」こと
・時短は「戦友」となるはずの夫を「協力者」にしてしまう
など、これが最強のワーキングマザーメソッド。

amazonはこちら楽天ブックスはこちら