町田徹「ニュースの深層」
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8月のアベノミクス崩壊を救った黒田日銀の価値を
安倍官邸はわかっていないのではないか

2014年08月26日(火) 町田 徹
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「危険ドラッグ」に手を出したのかも   photo Getty Images

市場発で崩壊リスクが高まっていた「アベノミクス」という政策シナリオを、黒田日銀が市場介入の連発で救ってみせた。

黒田日銀総裁は珍しく満面の笑み

その働きは、東日本大震災以来の大幅な落ち込みとなった今年4~6月期の実質GDP(国内総生産、第1次速報値)の発表(8月13日)で急落しかねなかった株式相場を、量的緩和の一環であるETF(上場投資信託)の大量購入によって買い支え、逆に「9営業日連騰」という大相場を演出しただけではない。円安基調の持続と長期金利の低下をも促す八面六臂の活躍で、アベノミクスの延命に成功したというのである。

しかし、市場を短期的に買い支えることができたからと言って、消費増税に喘ぐ実体経済をテコ入れができる保証はないし、介入の副作用も小さくない。米FRB(連邦準備理事会)の足踏み状態を見ても明らかなように、黒田日銀のこうした異次元の金融緩和は、金融政策を平常の状態に戻す「出口戦略」を難しくするリスクを伴う“麻薬”だからだ。

果たして、それほどまでして中身の乏しいアベノミクスを支え続ける大義があるのか。異次元の金融緩和を断行する黒田日銀の本当の狙いはどこにあるのか。疑問は尽きない。

「7~9月期から景気は回復する。日銀の見方は変わっていない」「雇用や所得の改善で個人消費の底流はしっかりしており、企業収益もよい」――。

黒田東彦日銀総裁は22日、米カンザスシティ連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いたシンポジウムに出席した。その折に、珍しく満面の笑みを浮かべて記者団の取材に応じ、こう答えたという。

首を傾げたくなるが、日本では、4~6月期の実質GDPが年率換算でマイナス6.8%と予想を大きく上回る落ち込みとなったにもかかわらず、黒田総裁は日本経済を楽観視する姿勢に変化がないと主張した。同総裁は、物価目標の達成に自信を持っていると述べただけでなく、市場が切望している追加の金融緩和策についても、仮に目標達成が困難な場面に遭遇することがあれば「躊躇なく政策を調整する」とリップサービスを忘れなかったらしい。

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