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平林泰三(ラグビーレフリー)<後編>「Be you――師匠から贈られた言葉」

2014年08月27日(水) スポーツコミュニケーションズ

「Be you(君らしくあれ)」――フルタイムレフリー平林泰三が、今も大事にしている言葉だ。平林にこの言葉を贈ったのは、世界トップ3のレフリーとして長年君臨したニュージーランド人のコリン・ホークだ。
「当時、レフリーマネージャーだったコリンさんに、そう言われたんです。『人のまねをする必要もないし、特に気を遣う必要もない。君は君らしくいなさい』と。レベルが高くなればなるほど、レフリーの世界も厳しくなる。だから最終的には人がどうとかではなく、自分自身を持っていないとダメなんだ、ということを教わったんです」
 アジア人初のフルタイムレフリーとなって、まだ1年にも満たない頃のことだった。

 平林にとって初めての国際マッチは、2005年、南アフリカで行われたU-19W杯だった。テレビで観たことのある世界のトップレフリーが集う舞台は、平林にとっては絶好の学びの場だった。
「こんなすごい人たちのレフリングを間近で見ることができるんだ。よし、いろんなことを吸収して帰ろう」
 まだ実績のない者が積極的に学ぼうというのだ。普通に考えれば、その姿勢は、褒められはしても、マイナスにとられることはまずない。

 ところが、だ。大会も終盤にさしかかったある日、平林はコリンに意外なことを指摘されたのだ。
「日本はディベロップネイションズだし、君がトップレフリーのようになりたいと思うのはわかる。でも、人のことは気にしなくていい。自分らしくいなさい」

 その言葉で、平林は大事なことに気づかされた。
「当時の僕は、端から人から教わることしか考えていませんでした。だから、大会に入る準備をほとんどしていかなかったんです。自分の強みと弱みを把握したうえで、じゃあ、初めての国際マッチでどうしていきたいのか、大会期間中にどういうふうに自分を伸ばしていくのか、といったことをまったく考えていなかった。完全に受け身の状態。そういう気持ちが、態度にあらわれていたんでしょうね。それをコリンさんは見ていたんだと思います」

 それは平林が「1番目の師匠」と呼ぶ川崎重雄の訓えにも通ずる。川崎が最も重視しているのは「準備」だ。それは世界の舞台においても、やはり変わらないということである。

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