安保相固辞し総裁選モードに入った石破氏に安倍首相との経済論戦を期待する

9月3日の内閣改造に向けて、政治の動きが活発化してきた。先週半ばまで、焦点であった石破氏は安保相を受けるという報道だった。ところが、マスコミは先週末から一転して、石破氏が安保相を受けないというトーンになってきた。各報道機関の23日の見出しは以下だ。

NHK「石破氏 安保法制担当相就任は慎重に判断へ」
朝日「石破氏「安保相就任は困難」
毎日「石破氏:安保相を辞退へ」
読売「石破氏の安保相固辞」
産経「石破氏、安保相固辞の意向」

この種の話は、本人が語ることはないが、取り巻き・側近がいろいろと解釈してマスコミに話している。報道をまとめると、集団的自衛権の限定行使について、基本は同じであるが、石破氏は「国家安全保障基本法」が必要という立場であるのに対し、安倍首相は現行法改正で十分という立場の違いのようだ。

これを聞いて、石破氏らしい「法的な緻密さ」だと思った。石破氏本人からその趣旨のことが発せられたのは確かだろう。

なお、石破氏は集団的自衛権の議論は強く緻密だが、同氏が、個人の正当防衛は個別的自衛権にだけ対応しているものと思いこんでいるのは不可解だ。刑法の規定を読めば、自分または他人の権利侵害に対処するもので個別的自衛権と集団的自衛権に対応している。2014年05月19日付けの本コラム「飼い主を守る猫」でも行使する「集団的自衛権」に反対するマスコミの国際感覚の欠如」を参照してほしい。

内閣改造でも石破氏周辺は「冷や飯」の公算

石破氏は、集団的自衛権の限定行使については自公両党での協議にも加わっていた。その場では、限定行使を実施するために、あくまで中身の話をしたのであって、法整備や法形式までは議論していない。だから、その点で異を唱えても許されるという考えだろう。

しかし、これは多くの人にとって意外だろう。集団的自衛権は、限定であれ、行使できるかどうかが問題で、そのための法形式は些細な問題に見える。もし、「国家安全保障基本法」がないと解決できない問題があれば、それを具体的に言えばいい。それは、いずれに国会に出される集団的自衛権行使のための「一括法」に法的に盛り込むことが可能だ。それで、当面は支障がないはずだ。

おそらく今年末までに実務的に日米ガイドラインを改定し、その上で集団的自衛権行使の一括法を、これまた実務的に行いたい安倍首相にとっては、そんな法形式などの空理空論より、現実問題に対処したほうがいいと思うだろう。ほとんどの政治家は法形式にこだわらないが、その点、石破氏には独特のこだわりがあるのだ。

ただし、理由は何であれ、石破氏の周囲の国会議員は、石破氏が安倍氏との対決モードなったことを喜ばしく思うだろう。というのは、今回の内閣改造でも、来年秋の総裁選まで石破氏の周囲は冷や飯を食わされる公算が高いのだ。