西田亮介「政治の技術」

松井孝治×西田亮介対談【後編】
「市民が積極的・主体的に身近な公共にかかわる社会をつくりたい」

いま、改めて「公共」を問う

2014年08月31日(日) 西田 亮介
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[左]松井孝治氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)、[右]西田亮介氏(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)
これまで、政治家に注目したり、政治を見直すときに、首相経験者や派閥の担当者など、私たちから少し遠い人たちがコンテンツとなることが多かった。しかし、本当にそれでよいのか、という問題意識から、立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授・西田亮介氏が聞き手となりスタートするインタビュー企画。初回となる今回は、「公共」をテーマに、官僚、政治家を経て、現在は慶應義塾大学総合政策学部教授を務める松井孝治氏にインタビューをおこなった(3月17日実施)。

【前編】はこちら

少しずつ推し進めた「コミュニティ・ソリューション」

松井: ぼくがかかわったことを整理すると、2003年以降ではマニフェスト選挙、2004年に政党シンクタンク構想を出して、2005年の選挙で負けてからシンクタンク「プラトン」を立ち上げました。

西田: シンクタンクは自民党にあったものですか?

松井: いえ。あのころは、自民党もほぼ同時につくったんですよ。

西田: 自民党は城西国際大の鈴木崇弘先生がキーパーソンになったもののことでしょうか?

松井: ぼくらも鈴木さんを口説いたんですが、鈴木さんは迷った末に自民党のほうに行かれました。

西田: プラトンで中長期の政策を練りたいというのが、松井先生のお考えだったのですか?

松井: プラトンでは、どちらかというと、新しい公共型の理念を出そうと思ったんです。当時は「コミュニティ・ソリューション」と言っており、プラトンの最初のシンポジウムを開催して、民主党はこのモデルでいこうと思っていました。

つまり、中央集権で遠くにある政府ではなく、もっと公共を引き寄せようと。子ども手当などにみられる中央が配る公共ではなく、寄付税制のような形で自分が自分の身銭を切ってなにを応援するのかということです。国民が自らの「公共」判断によって応援しようという分野を国や自治体もマッチングする形で応援しようという逆転の発想です。もっと公共の世界を身近にしないと監視の目も行き届かないからという副次的な理由もあります。

ぼくは小泉改革が行った改革について、半分くらい賛成なんです。竹中平蔵さんも鮮やかだった。官が官業として肥大化しているのはおかしいし、郵政民営化が正しいと思っていましたから。ただ、改革の目的は民間にとってのビジネスチャンスの拡大というニュアンスが強すぎたとは思います。

小泉・竹中路線を支持するんだけど、他方で主目的が民間のビジネスチャンスの拡大というとちょっと待てよ、と。民間企業が適正利潤を得るのは結構だけど、ビジネスチャンスよりも、公共的サービスの受益者の利益の方が大きいと思っていて。

また、小泉内閣が続くなかで、格差や貧困の問題も出てきました。もちろん、困窮する人たちを社会的に包摂していくことは大事ですが、国家がいきなり社会包摂を全部担っていくことには違和感があるんです。

たとえば、阪神淡路大震災の時には、地域の人々が地域の中で人々を包摂していました。中央の役所がなんでもやるのではなく、もっと各地域の人々を幸せにしていくことを考えてもいいと思いました。たまたまですが、ぼくの子どもが通っていた学校が御所南小学校という「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」のパイロット校だったんです。

西田: 「新しい公共」の文脈でも、度々言及されていますね。

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