総務省ガバナンス委員会がメスを入れる
日本郵政「西川利権」

郵貯限度額引き上げで永田町大揺れの裏側

 亀井静香郵政・金融担当相が暴走、鳩山由紀夫首相がそれを制御できず、郵貯限度額は2000万円に引き上げられた。郵政民営化を中断、国債引受を強化させるという亀井氏の"野望"は、今後も閣内に騒動を引き起こしそうだ。実は、その一方で、自民党政権下で民営化を担った西川善文社長時代の疑惑解明が進んでいる。

 西川疑惑といえば、刑事告発もされている「かんぽの宿」である。なぜ、巨費を投じて建設したこの宿泊施設を、政府審議会などを通じて「小泉(純一郎元首相)―竹中(平蔵元金融相)路線」を側面支援する宮内義彦氏のオリックスグループに格安で、任意売却したのか。

 そうした疑惑解明を、ガバナンス(企業統治)の観点から検証することを目的に、総務省は、今年1月8日、「日本郵政ガバナンス検証委員会(ガバナンス委員会)」を発足させた。この狙いを、ひとことでいえば、「西川利権」の解明である。

 西川氏は、非効率で旧弊がはびこる伏魔殿のような日本郵政に、わずかな私兵を連れて乗り込んだ。おそらく周囲は、面従腹背の「敵」に見えただろう。

 当然、重用するのは三井住友銀行出身者を中心とする私兵。彼らはやがて「チーム西川」と呼ばれ、社内で権力を確立していく。権力の集まるところに利権は発生する。その象徴とされたのは、西川氏と親しい宮内氏への不動産譲渡であった。

 問題はこの取引が悪質かどうかである。「かんぽの宿」は売却時期を限定、急がねばならなかった。その拙速さが怪しい取引を生んだのだとしたら、ガバナンス上の問題は指摘できても、個人の責任追及には及ばない。

 総務省顧問の郷原信郎名城大学教授を委員長とするガバナンス委員会は、そうした観点から西川時代の問題として指摘された
(1)不動産取引、
(2)日通ペリカン便との宅配便統合、
(3)クレジットカード業者、グループ広告責任代理店等の業者選定、
  といった問題について、情報収集、資料分析、関係者のヒヤリングなどで解明を進めている。

社外取締役の会社との取引が急増

 その結果は、委員会が近くまとめる「報告書」を待つしかないが、「かんぽの宿」で指摘された「事業遂行の迅速性」が自己目的化したことで、さまざまな問題を引き起こしている。

 例えば、日本郵政グループの郵便事業会社と日本通運の共同出資により、08年6月に設立されたJPエクスプレスは、ビジネスモデルが崩壊している。今年7月に解散することになっており、その時点で855億円もの累積損失を抱える見通しである。

 郵便事業会社の「ゆうパック」と、日本通運の「ペリカン便」との宅配統合は、当初から実現が危ぶまれていた。事業収支は、試算の段階で統合から5年経っても赤字で、連結累損予想は1000億円に近かった。