スポーツ

[自転車競技]
白戸太朗「しまなみ海道サイクリングの人気を探る」

2014年08月25日(月) スポーツコミュニケーションズ
橋の上も自転車、歩行者専用道で走りやすい

 日本の中だけではそこまで価値を見出されないが、海外から絶賛されると国内でも、というケースは意外に多い。日本人がシャイで自信を持てないのか、足元にあるいいものに気が付かないのか。芸術、音楽の世界はもちろん、工業製品からコンビニの便利さ、治安の良さなどなど……。国内にいると当たり前と思っていることが、海外から見ると「Cool!」となるわけだ。つい先日も、海外から絶賛を受けて急激に人が増えているというところに行ってきた。それは「西瀬戸自動車道」、通称「しまなみ海道」。ここは建設当初、「こんなにお金をかけてどうするんだ」と非難の声が多かった場所だが、今では国内外から沢山の人を呼び寄せている。

 建設計画から全線開通まで26年かかり出来上がったルートは、10本の橋で愛媛県の今治と広島県の尾道を結ぶ全長約60㎞、約7400億円の建設費がかかった。当初から本州四国連絡道路の中でも、経済基盤では兵庫県と徳島県の「神戸・鳴門ルート」に、距離では岡山県と香川県の「児島・坂出ルート」に及ばないということで、その有用性を説明しにくかったようだ。もっとも、そのおかげで片側一車線にし、鉄道付属施設をなくすことでコンパクト設計となり、建設費用は3つのルートの中で最も安くなったといわれている。

 しかし、後出しの割には、ちょっと特徴が弱い。そこに付帯させたのが「自転車、歩行者専用道路」であった。これにより、車や鉄道以外でも、四国と本州を結んだ初めてのルートとなる。だが、どれだけの人が来るのか、当初は懐疑的な見方が多かったらしい。確かに、今でこそ自転車を乗る人が増えたが、20年前にその計画を考案し、実行するには勇気がいることだっただろう。こうして全長70㎞、6つの橋を経由する、空中散歩のサイクリングコースができ上がった。

橋へのアプローチの迂回路

 そのしまなみ海道に人が多数来るようになったのはここ5年のこと。特に2012年に自転車界の巨人、世界的メーカーの「ジャイアント」の会長が、しまなみ海道を走り、絶賛したことからアジアの観光客が増え始めた。さらに今年の5月、米国のCNNが「世界で最も素晴らしいサイクリングコースのひとつ」と紹介したことで、海外からの来客が一気に倍増したようだ。時期を同じくして行政と民間が一体となり、自転車と泊まれる「サイクルホテル」を尾道にオープンし、連日好評を得ている。国外からのお墨付きをもらったのが幸いし、「5月以降は今までにない活況」と地元関係者の弁。面白いことに、国内からの来客も増えているという。皆が話題にし、評判が広がることで国内での注目度も上がったというところか。いずれにしても、しまなみ海道は今や、国内屈指の人気サイクリングコースとなった。

1
nextpage


Special Feature