安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第55回】 イエレン議長の講演で「リスクオン」というのは短期的な現象か?

2014年08月21日(木) 安達 誠司
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〔PHOTO〕gettyimages

なかなかゼロ金利解除に踏み切れないイエレン議長

8月23日金曜日のジャクソンホールで開催されるイエレンFRB議長の講演に注目が集まっている。ジャクソンホールでのFRBのミーティングは、本来、金融政策に関する最新研究の発表会だが、バーナンキ前議長の講演以降、マーケットにとっては、FRBの金融政策の先行きを占う重要な会議という位置づけである。

昨年末以降、量的緩和政策の段階的縮小(Tapering)が順調に進捗する中、今回のジャクソンホールのミーティングでは、イエレン議長がゼロ金利政策の解除の時期を示唆するか否かに注目が集まっている。

イエレン議長は、かつて、ゼロ金利解除の時期について、「通常であれば、Tapering終了から3ヵ月後程度がメドである」という旨の発言を行い、その後、米国の株式市場は調整局面に転じた。以降、イエレン議長は、ゼロ金利解除について慎重な発言に終始している。

また、イエレン議長は、従来より、米国の労働市場の構造的な脆弱性を問題視してきた。すなわち、米国の労働参加率の低下が、失業率の低下を実力以上にみせており、急激な失業率の低下を景気過熱のシグナルとみるべきではないとの立場に立っている。そして、この米国の労働参加率の低下がどのようなメカニズムで発生しているのかが謎であるため、なかなかゼロ金利解除に踏み切れないでいる可能性が高い。

今回のジャクソンホールの講演でも、イエレン議長は、米国労働市場の構造問題について言及する予定である。そのため、市場では、イエレン議長が、労働市場の構造問題ゆえにゼロ金利解除に慎重であるべきである、という内容の発言をし、ゼロ金利解除の前倒し懸念を払拭することを期待している。

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