元米陸軍情報将校が明かす「敵がソ連から北朝鮮、中国に変わり、日米が運命共同体でなくなった本当の理由」
『2020年日本から米軍はいなくなる』第1回
横須賀に寄港する米海軍攻撃型原潜キーウェスト。敵国を最初に攻撃する任務を担う

---対ソ連であった全面核戦争の恐怖は、対中国と対北朝鮮では、米国にはほとんど影響ないということですね?

平たく言うとそうです。

日本のメディアは勘違いしているのですが、敵国を最初に攻撃する兵器、つまり、ファースト・ストライク・ウェポンは、地上発射の弾道ミサイルではなくて、潜水艦から発射する弾道ミサイル(SLBM:Submarine Launched Ballistic Missile)であるということです。これは、軍事学の基本中の基本です。

北朝鮮にSLBMはありますか? 1発もありません。そして、中国は・・・。

---SLBM搭載の晋級094型原子力潜水艦が3隻あります。しかし、戦力化に関してはまだ、疑問符がついています。

専門家から見ると、全然、話にならない。

その原子力潜水艦が、米海軍第7艦隊を素通りして米国本土まで接近するのは、現時点では不可能です。さらに米国は東西を大西洋と太平洋という大海によって守られ、南北をカナダとメキシコという友好国に守られています。その米国を直接攻撃することは、並大抵の軍事力ではできません。

そしてまた、中国は米国への核攻撃力を持っていないんです。それから、日本人はミサイル・ディフェンスについては、大きな勘違いをしていますね。

---どういうことでしょう? 北がミサイルを撃つぞと言えば、海自精鋭の対弾道ミサイルSM-3搭載のイージス艦が日本海に展開し、空自の地対空ミサイル・パトリオットPAC-3が地上展開して、万全であります。

それは、ミサイルが発射されてから、飛翔中か着弾寸前に、撃墜しようとしているんでしょ?

---防衛でありますから。

ミサイル・ディフェンスには推進段階のブースト・フェイズ、水平移動中のマイルド・コース・フェイズ、落下段階のターミナル・フェイズ、そして発射前のフェイズ・ゼロがあります。

日本では最終段階のターミナル・フェイズで叩くのが基本になっていますが、たぶん小学生でも分かると思いますが、弾道ミサイルはフェイズ・ゼロと呼ばれる発射寸前の地上でぶっ潰すのが一番確実なんです。

米国と日本のミサイル・ディフェンスの発想は完全に違うと言わざるをえない。撃つ前に叩く、これが米軍の発想ですから。

北朝鮮の移動式トレーラーから発射するノドンミサイルを、発射する前に米軍は潰せます。衛星ですべて見えていますから。

---すると、日米の同床異夢の米国の部分を翻訳すると、「敵がソ連の時は、日本に、また、米国にまで核ミサイルが飛んできて、同時に滅亡する運命共同体だった。だから、一緒にやろうぜ、という真剣な日米同盟だった。

しかし、今は、米国に北朝鮮のミサイルが届くことはない。中国のは数が少ないから、米国は滅亡しない。だからさ、君たち、日本だけで、まず何とかしなよ」と言うのが、本音ですか?

はい、そのとおりですね。