経済の死角

山田肇×吉川尚宏×町田徹 【第4回】 「2020年は、消費者重視の競争政策を採るためのターゲットである」

~日本の電波の有効活用を考える座談会~

2014年08月22日(金)
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[左から] 山田肇さん(東洋大学教授)、司会の町田徹さん(経済ジャーナリスト)、吉川尚弘さん(ATカーニーパートナー)

【第3回】はこちらをご覧ください。

無線LANのアクセスポイントは事業として提供すべき

町田: ここでちょっと視点を変えますが、2020年に東京オリンピックの開催が決まったわけですが、ここに向けても大きな課題がいろいろあって、たとえば海外から来た人たちに「Wi-Fiが自由に使えない閉鎖的な国だ」という印象を持たれているわけですが、将来的にはカメラが4Kとか8Kとかどんどん進んでしまうので、今の日本国内のWi-Fiで使い出してみんなが画像や映像をアップロードしたらパンクしてしまうわけですよね。そういう問題に対して何か手を打っていかなくていいんですかね?

吉川: おっしゃる通りでここでまた光の話が出てくると思うんですね。Wi-Fiのアクセスポイントはあちこちに打たれる。それから、総務省は2020年までには第5世代も導入したいと言っていますが、基地局はますますマイクロセル型になっていくんでしょうね。ということは、基地局の数はもっと増やしていかなければいけない。基地局までは光でつないで、末端は電波でつなぐというパターンになると、ある意味では光をもっとどんどん利用してくださいということになると思います。

だから、依然として光の利用促進・整備促進というのは重要で、電波と光をうまく利用してなるべくたくさんの皆さんが使えるようにしましょう、と。最終的なアクセス手段は無線になると思うんですが、光をうまく使って大容量の情報をトラフィックがパンクしないように使えるようにしましょう、という方向にいくんだと思います。

町田: 私が取材していて面白かったのは、ロンドンオリンピックなんですよ。シスコシステムズが、無線との接点になるWi-Fiの基地局をオリンピック開催期間中無償で大量に貸与したんです。ブリティッシュテレコム(=BT)はそこに向けて精一杯固定をそこまで持って行く投資をやらなければいけなかったわけですね。

今の回線スピードと今のカメラの性能ならばいいんですけど、おそらく東京オリンピックのときもシスコシステムズはWi-Fiの基地局を貸与するでしょう。みんなが競技場なんかへ行って撮ってくるカメラは、4K・8Kなどのさらに高精細で大容量のものに変わっているので、ロンドン以上の強固なバックボーンの光を引かなければいけない。それをやらないと東京の無線がパンクする、あるいは東京の通信がパンクするということが起きかねないわけです。

しかし問題なのは、東京オリンピックが終わった瞬間、シスコシステムズはそのWi-Fiを持って帰ってしまうわけです。引いた光ファイバーを何に使うんでしょうか、どうやって投資を回収するんでしょうか、そういう問題もおそらく議論が始まるでしょう。ここに対する答えが今はない。

山田: 東京の無線LANはやたら潤沢に提供されていて、世界に類をみないくらいいろいろなところにアクセスポイントがある。たとえばここにスターバックスがあって、隣にはドトールコーヒーがあって、その隣にも別のカフェがあって、それぞれが無線LANを持っていて、しかもドコモやソフトバンクの提供する無線LANのアクセスポイントもある。

そういうふうに無線LANのアクセスポイントだらけで、いざ自分のスマートフォンからつなごうとしたときに、どこにつなげばいいのか選択するだけですごく余分な時間を食ってしまう。そういう意味ではすごく使いにくい。さらに、ログインするときのメッセージが全部日本語で表示されていて、外国人にはよくわからない。数はいっぱいあるのですから、そこを直せばいい。

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