賢者の知恵
2014年08月22日(金) 佐藤慶一

LGBTをテーマにした舞台を通じて、性同一性障害への理解を深める---劇団「トランス☆プロジェクト」メンバーに聞く

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左から、冴瑪悠氏(俳優)、井原一樹氏(脚本・演出)、月嶋紫乃氏(トランス☆プロジェクト代表)

2000年から性同一性障害をテーマに舞台をおこなう

これからの社会において、「ダイバーシティ(多様性)」や「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」といった言葉がキーワードとして挙げられることがある。社会・企業・組織でも、障害の有無や年齢差、性別差、国籍などの違いを超えて、一体化したり、一人ひとりが生き生きと生活できることはますます重要だろう。

今回は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの総称)について取り上げたい。都内を拠点に、LGBTをテーマにした舞台の制作・上演をおこない、性同一性障害(GID:Gender Identity Disorder)への理解を深めようと取り組む「トランス☆プロジェクト」という劇団がある。

今年5月で16年目を迎えた同劇団は、10月の舞台「The World is Yours」に向けた稽古の真っ最中だ。そんななか、俳優の冴瑪(さえば)悠氏、同プロジェクト代表の月嶋紫乃氏、舞台の脚本・演出を務める井原一樹氏の3名に団体・舞台について話を伺った。

このプロジェクトが立ち上がったのは、1998年のこと。性転換手術(SRS:性別適合手術)が認められたという新聞記事を読んだこと、テレビのドキュメンタリー番組を観たことがきっかけとなり、月嶋氏がたった一人で立ち上げた劇団だ。立ち上げたきっかけを以下のように語る。

「性同一性障害の方々が、『ただ普通に生活する』ということができない悩みを持っていることを知り、衝撃を受けました。一方で、当事者と会うことで、『ありのままの自分を認める大切さ』に気付くことができ、勇気づけられたのです。問題の深さは別として、もっているアイデンティティの悩みという点ではいっしょなんだ、と感じました」(月嶋氏)

月嶋氏はまず、メンバーの呼びかけをおこなった。性同一性障害をテーマにしたミニコミ誌『FTM日本』を創刊した作家・虎井まさ衛氏を知ったことで、同誌の読者投稿欄に舞台をつくりたい旨を投稿。この欄を通じて、プロジェクトに加わったのが俳優の冴瑪氏だった。

性同一性障害の当事者でもある同氏は虎井氏の著書『女から男になったワタシ』をたまたま書店で手にとったという。ちょうど悩んでいた時期であり、そこから性同一性障害やFTM日本を知ったことで、舞台をやりたかった月嶋氏とつながることになった。

トランス☆プロジェクトは、2000年に最初の舞台をおこなって以来、ほぼ隔年で開催し、今回で8度目の公演となる。脚本にこだわっていること、劇場がなかなかとれないこと、費用がかかることなどさまざまな理由があり、ほぼ隔年での舞台づくりになっている。現在、メンバーは10名ほどで、月嶋氏以外のほとんどが当事者だ。最近はネット経由でプロジェクトへの参加の連絡をもらうことが多いのだとか。

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