現代新書
特別連載 平成版・南蛮阿房列車 「鉄道の世界遺産」をめぐる旅 第3回 「家族で楽しむキュランダ高原鉄道」(オーストラリア)
キュランダの施設にいるコアラ

「インターネット上に数え切れないほどの個人旅行記が綴られるようになり、活字の紀行作品が旅行の情報源として重視される時代ではなくなった。だが、明治や大正期の紀行文が今も色褪せないように、情報は古くなっても文学は必ずしも古くならない。紀行という分野が文芸の一角を成している所以(ゆえん)である」(「はじめに」より)

日本全国、そして世界各国でひたすら汽車に乗って旅し続けてきた著者による『世界の鉄道紀行』。平成版の“南蛮阿房列車”ともいうべき世界各国の愉快な鉄道紀行を、この現代新書カフェから区間限定で先行運転します。

第3回は「家族で楽しむキュランダ高原鉄道」。小さな子連れの家族でも気軽に楽しめるオーストラリア北部の行楽鉄道から見える景色は、かつて人気番組『世界の車窓から』のオープニングを飾っていたそうです。(地図・板谷成雄、写真・著者)

『世界の鉄道紀行』には、本書でしか読めないレア路線など全20作の紀行文を収録

小さな子を持つ若い夫婦が家族で海外旅行へ行くには、数々の障害がある。国際線の航空便は2歳未満の幼児が無料になるだけで、列車のように6歳以下はタダ、小学生は半額というわけではないし、そもそも長時間のフライトは親子ともどもかなりの体力を要する。幼児は時差や気候の変動で体調を崩しやすい。現地の緊急小児医療体制も気になる。

そんな悩みをことごとくクリアできる優れものの観光地が、オーストラリア北部のケアンズだ。成田と関空からLCC(ローコストキャリア)のジェットスター航空が就航しており、旅行会社のパックツアーで航空運賃を含めた子供料金を設定している割安のファミリープランを見つけやすい。フライト時間は7時間半かかるが、日本との時差はわずか1時間。気候も年間を通じて最高気温が摂氏25度から30度前後と一定して暖かい。日本語で24時間対応してくれる医療施設まで街の中心にあり、どこからでも歩いていけるので心強い。世界遺産になっているグレートバリアリーフをはじめ、各種の見どころは全部ケアンズの街から日帰り圏内にあるので、荷物を抱えての移動をなるべく避けたい幼児連れには有難い。