エコノミストを疑え!何が何でも「消費増税の影響は軽微」と言いたい彼らの予測は当たらない

8月13日、内閣府は4-6月期のGDP(一次速報値)を発表した。物価変動の影響を除いた実質で前期比マイナス1.7%、年率換算ではマイナス6.8%だった。

マスコミ各紙は揃って「想定内」と報じた。

「4-6月期の国内総生産(GDP)が市場予想ほど悪化しなかったことを受け、日本株には買い安心感が広がった」(日本経済新聞)
「民間調査機関は平均で7%前後の減少を見込んでいたが、民間予想よりもやや落ち込みは小さかった」(読売新聞)
「取引開始直前に発表された4-6月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比6.8%減と市場の予想の範囲内にとどまったため、大きな売り買い材料にはなっていない」(朝日新聞)
「日本の4-6月期国内総生産(GDP)はほぼ事前予想通りとなり、警戒されていたような下振れとはならなかったが、市場に安心感は広がっていない。」(ロイター通信)

それもそのはず、マスコミが使うエコノミストたちが「想定内」と言うからだ。

本コラムの読者であれば、6月30日付「過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか」(→こちら)から、4-6月期が悪いことをご存じだろう。

直前の修正で常に「想定内」に

エコノミストがどのように、4-6月期のGDPを予測していたかは、ESPフォーキャスト調査の結果をみればわかる。ESPフォーキャスト調査は、日本の著名なエコノミストを40名ほど(下表)を選んで、彼らの予測を発表している。

その予測結果(→こちら)により、4-6月期の実質GDP成長率(前期比・年率換算)について、メンバーの平均値を見てみよう。

4月調査で4.04%、5月調査でマイナス3.80%、6月調査でマイナス4.18%、7月調査でマイナス4.90%、8月12日に発表された8月調査ではマイナス6.81%となっている。1か月前までは、今回発表になったマイナス6.8%は「想定外」だが、1日前から「想定内」になったのだ。

実はGDP統計は、家計調査、機械受注、鉱工業生産指数、建設着工など各省が毎月公表している各種統計を加工して作った二次統計だ。各種統計が悪かったので、4-6月期のGDPが悪かったのだ。逆に言えば、各種統計結果がわかれば、GDPはどうなのかある程度わかる。

だから、エコノミストたちの予測は直前には修正され、常に「想定内」となる。実は、政府・日銀も似たような「修正」をしばしばやっている。たとえば、日銀は、2014年度の実質成長率の見通しについて、1月に1.5%から1.4%、4月に1.1%、7月に1.0%に下方修正してきた。残り半年になる10月の展望レポートでさらに修正の可能性もある。

このように、エコノミストたちの「想定内」はいつの時点の予測かをはっきりさせないと、あやしい。直前なら、誰でも当たるだろう。エコノミストたちの真価は、直前ではなく、かなり前に当たる予測ができるかどうかにかかっている。

そこで、ESPフォーキャスト調査が、3か月後の実質GDP成長率をどの程度当てているかを、過去のデータ(→こちら)から考えてみよう。エコノミストたちの3か月先の予測力はどうなのかは関心が高い。というのも、11月17日に1次速報、12月8日に2次速報が公表される予定の7-9月期の実質GDP成長率がどうなるかは、12月に政府が10%への消費増税を決定するにあたり、きわめて重要だからだ。

ちなみに、7-9月期の実質GDP成長率について、8月のESPフォーキャスト調査のフォーキャスターの平均は4.08%とかなり反発すると予測している。

データを分析すると、エコノミストの3か月先の予測力はきわめて低い。下図は、3か月前の予測と実績がどうなっていたかを示す図だ。予測力が高ければ、ゼロのあたりに大きな山ができて両脇は低い山のような形になるが、この図ではほぼ台形のような感じだ。

要するに、エコノミストたちの予測は、上にも下にも大きく、かつ万遍なく外している。若干の統計処理をすると、7割は当たらないと考えたほうがいい。

データの中には、リーマン・ショックも東日本大震災もあったので、ちょっと過酷な時期だったかもしれないが、エコノミストという商売は経済予測が当たってナンボの世界だ。それにもかかわらず、この程度の予測力ではプロの名前がすたるというものだ。

これまでのエコノミストの低打率を考えれば、7-9月期の実質GDP成長率が4%というのは当たらないと考えたほうがいいだろう。ただもちろん、これは平均の話であり、個々のエコノミストでは打率の高い人もまれにいるかもしれない。

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