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すでに118人が誕生! 生まれてきた子は孫か、我が子か「息子の嫁に自分の精子」で子作り そのあと家族に起きること

子供のできない息子夫婦を救う画期的な手段か。それとも、家族関係をめちゃくちゃにする倫理違反か。いま、日本中で議論が真っ二つに割れている。家族それぞれの立場から、その答えを探った。

生理的に無理!

夫の実父の精子で体外受精をし、118人の子供が誕生—。こんな衝撃のデータが、7月31日、都内で開かれた日本受精着床学会で発表された。

発表した諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が語る。

「子供が欲しいが、夫に精子がないため授かれない。そういった夫婦は、養子を迎えるか、もしくは精子提供を受けることを選択します。そのとき誰から精子提供を受けるか。現在一般的なのは、『匿名の第三者』からの提供による人工授精です。しかし実は、顔も知らない他人からではなく、夫の実の父親からの提供を望むケースは少なくありません。

匿名か、特定者か。それは、当事者が選択することが望ましいと私は考えています。今回の発表が、無精子症に悩む夫婦の選択肢が広がる契機になればと思っています」

同クリニックがまとめたのは、'96年11月から、昨年末までの結果。根津院長によると、この17年間に110組の夫婦が夫の実父(50~70歳代)からの精子提供を受け、79組が出産(双子を含む)。そのうち2回出産したのが17組。3回、4回が1組ずつだったという。

根津院長が続ける。

「最初から夫の実父からの精子提供を希望していらっしゃる方、当院で実父という選択肢を知り希望される方、ケースは様々です。ただあくまで、ご夫婦に選択してもらうというのが、私のスタンスです。

もちろん、夫の実母や妻の両親などが反対する場合もあります。しかしそういったときは、治療を行いません。カウンセリングを重ね、当事者夫婦と提供者夫婦、みなさんに納得していただいた上で慎重に実施しています」

赤の他人ではなく、あえて夫の実父からの提供を選ぶ。これは提供する父親からすれば、「息子の嫁に自分の精子」を使って子作りをするということだ。

厚生労働省は'03年、「匿名の第三者からの精子提供は認めるが、兄弟らからは家族関係が複雑になるため認めない」とする旨の報告書をまとめている。いわばこれは国が定めた「倫理規定」だ。それに真っ向から反発する事実を示した今回の発表。それだけに、この行為に対して賛否は大きく割れている。