クラブなど営業規制を緩和へ
秋にも風営法改正目指す 治安・環境悪化の心配も[風俗]

クラブやダンス教室などを規制する風営法が今秋の臨時国会で改正される見通しになった。規制緩和を求める業界や愛好家からの「時代錯誤の法律」という批判の声が高まるなか、政府が6月に閣議決定した規制改革実施計画に見直しに向けた検討を行うことが盛り込まれたためだ。古屋圭司国家公安委員長は記者会見で「法律を変えることは決定です」と明言し、警察庁に設置された大学教授らによる有識者会議は7月15日、ダンスの関係団体幹部らからのヒアリングを始めた。議論の大きな焦点となるクラブの営業の規制緩和を巡っては、警察や地元住民からは治安や環境の悪化への懸念が強く、8月下旬に取りまとめられる有識者会議の結果に注目が集まる。

風営法は戦後間もない1948年に施行された。売買春の温床にもなっていたキャバレーやダンスホールを取り締まるため、営業できる時間や地域、客の年齢などを規制することで社会風俗環境の健全化を担ってきた。59年には営業の実態に対応するため、ナイトクラブの規定が導入された。98年には、一定の基準を満たしたダンス教室を規制対象から外す法改正が図られた。

クラブやダンス教室を営業することは風営法によって一部を除いて風俗営業とされる。風営法2条の3や4といった項目で規定されるため、クラブは「3号営業」、飲食を伴わないダンスホール(ダンス教室)は「4号営業」と呼ばれる。

具体的な営業の規制には次のようなものがある。

営業許可制(営業には都道府県公安委員会の許可が必要)▽営業地域の制限(条例で定める住居集合地域や病院や学校といった保護対象施設の周囲での営業の禁止)▽営業時間の制限(原則午前0時まで。条例で午前1時まで延長可能)▽年齢制限(18歳未満は入店禁止)▽騒音と振動の規制(条例で騒音や振動の上限を規定)▽明るさの制限(クラブ、キャバレーは5ルクス、ダンスホールは10ルクス以下で営業することを禁止)――。

規制への疑問が噴出するきっかけとなったのは、無許可でクラブを営業していた店に対する警察の摘発強化だ。この背景には、大阪・ミナミの繁華街で2010年、クラブの客同士のけんかで1人が死亡し、地元住民が警察に取り締まりの強化を訴えたことがある。翌年には東京・六本木の地元住民も警察に環境の改善を訴える陳情書を提出した。取り締まりは全国に広がり、08年には5件だった無許可営業の摘発件数は10年に11件、11年には22件を数えた。

こうした動きにミュージシャンやクラブ愛好家は反発。音楽家の坂本龍一氏らは12年5月以降、「ダンスは文化であり、風営法で規制するのは時代錯誤」と規制撤廃を求める運動を展開。翌年には超党派の国会議員が「ダンス文化推進議員連盟」(会長・小坂憲次参院議員)を発足させ、議員立法に向けて動き出した。

風営法を所管する警察庁は議連に対し、「摘発は騒音や酔客で迷惑を受けている住民の苦情に基づいているもの」と理解を求め、規制を撤廃すれば「暴力団などの参入を許すうえ周辺の生活環境が悪化する可能性がある」などと悪影響を訴えた。しかし議連側は「警察から改正に向けた具体的な提案がない」と態度を硬化させ、クラブやダンス教室を風俗営業から外し、(1)朝までの営業を認める(2)午後10時までは18歳未満も入場を可能にする(3)立地規制も緩和する――といった項目を柱とする改正案を作成した。