『ソーシャルインパクト』【第4回】顧客満足(CS)志向からソーシャルインパクト(SI)志向へ

『ソーシャルインパクト〜価値共創(CSV)が企業・ビジネス・働き方を変える』(産学社)より抜粋

第1回はこちらからご覧ください。
第2回はこちらからご覧ください。
第3回はこちらからご覧ください。

ソーシャルインパクトという志向

筆者の玉村雅敏

かつては顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)をいかに高めるかが、企業にとって最優先の課題でした。消費者が商品を購入したり、あるいは、利用者が企業からサービスを受けたりする場合に、どれくらいの満足を感じることができるかを重視していたのです。

それがいまでは、「ソーシャルインパクト(SI:Social Impact)」という志向に急速に変化しつつあります。CS志向からSI志向への流れです。社会のつながりに対して高い価値を創出する好循環を与えることがソーシャルインパクトの本質ですが、それに向けた価値の共創が繰り広げられ、そのマーケットも広がりを見せているのです。

しかし、ヤマトや武雄市図書館の事例でも明らかなように、ソーシャルインパクトを単独で取り組み、実現しようとしても、なかなかむずかしいのが実情です。多様な主体による価値の共創。それが、むしろソーシャルインパクトの特徴でもあるのです。ビジネスのスタイルや収益の構造は変化しますが、結果として企業は持続的に収益を上げることができ、しかも顧客も満足し、ひいては社会も豊かになります。

そうしたソーシャルインパクトを象徴する事例も相次いで生まれている現状を見ると、企業が今後めざす方向性も自ずと理解できるように思われます。

ソーシャルは5つ目の経営評価の軸 これまで、人、モノ、カネ、情報の4つが企業の活動を評価する経営資源といわれてきました。情報は、ブランドというかたちで企業の価値を評価するモノサシにもなっています。本書では、これらの4つの経営資源に加えて、5つ目の評価軸として「ソーシャル」に着目します。

本書の冒頭でも触れたように、ソーシャルとは一般に、「社会の」「社会的な」と訳されますが、「つながり」「世間」という意味をもちます。市場や会社・組織などは、多様な主体(アクター)が活動するネットワークであり、人と人のつながりを形成する仕組みです。そのネットワークのもとで、それぞれが自らの力を発揮して、その効用を最大化させる、あるいは改善しようと行動しています。それが、社会(=ソーシャル)の本来のあり方です。

『ソーシャルインパクトー価値共創(CSV)が企業・ビジネス・働き方を変える
玉村雅敏編著 横田浩一・上木原弘修・池本修悟著 

青学社/1800円+税
人のつながり(ソーシャル)という資源を、ビジネスに活かせていますか?人と人のつながりのネットワークを機能させ、価値共創の好循環を生み出す、「ソーシャルインパクト」。モノが売れにくい成熟時代に、このソーシャルインパクトを企業戦略や経営資源のひとつとして活用する実践事例が、企業、自治体、NPOなどの垣根を越えて、いま日本中で続々と現れています。本書では、さまざまな分野の専門家による約200社の調査にもとづき、他人ごとの空気を変え、共感の連鎖を巻き起こした仕組みを紹介。ソーシャルインパクトが変える、市場・マーケティング・働き方・組織のあり方、そしてチームのつくり方を解説します。成熟企業にイノベーションを起こすヒントが詰まった1冊。
⇒アマゾンはこちら/楽天ブックスはこちらからご購入ください。