毎日フォーラム~毎日新聞社

刑事事案に「司法取引」導入へ
取り調べ可視化と併せ 冤罪引き起こす恐れの指摘も[法制度]

2014年08月12日(火) 毎日フォーラム
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法制審議会の特別部会を終えて記者会見する村木厚子厚生労働省事務次官=東京・霞が関の司法記者クラブで7月9日

司法取引が日本の刑事司法にも導入される。他人の犯罪事実の解明に協力した容疑者や被告を有利に扱う制度だ。大阪地検特捜部検事による証拠改ざん・隠蔽事件(2010年9月発覚)を契機に、取り調べの録音・録画(可視化)の制度化を中心に議論してきた法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が7月9日、可視化の義務付けなどとともに、司法取引を盛りこんだ要綱案を了承した。「可視化で組織犯罪の全容解明や贈収賄の立件などが難しくなる」とする捜査機関側は有効活用を目指す考えだが、弁護士の中には「冤罪を引き起こす恐れがある」との懸念もくすぶる。

司法取引と聞いて思い出すのは、ドラマや映画でも登場する米国の制度だろう。典型的なのは、被告が法廷で有罪と認める(有罪答弁)などした代わりに、検察側が求刑を軽くするといった便宜を図るものだ。この場合には、公判審理は行われず、量刑手続きに移行する。つまり、手続きを簡素化して、迅速に事件を処理していくという狙いがある。

日本で導入される司法取引は「捜査・公判協力型協議・合意制度」と呼ばれる手続きだ。検察官が容疑者や被告との間で、容疑者や被告が他人の犯罪事実を明らかにする供述などをすることの引き換えに、検察官がその「協力」を考慮して起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりすることで合意できるという制度だ。合意は書面を交わし、弁護人の同意も必要となる。約束違反などがあれば、合意は取り消される。有罪答弁のような制度は含まれていない。

実際の「取引」はさまざまなケースが考えられるが、典型例の一つは、①逮捕された容疑者の弁護人が検察官に対し「担当している容疑者が××という情報を持っている」と持ちかける②検察官が関心を持てば、どんな「協力」が得られるのか弁護人や容疑者から話を聞く③裏付けが取れた④合意書面を交わす――というようなイメージだろう。

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