「原発再稼動めぐる悲劇」---三日月滋賀県知事は再稼動を止めることについての力にはならない
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン vol099より
〔PHOTO〕gettyimages

新・滋賀県知事は「卒原発派」=「再稼動容認派」

古賀: 九州電力の川内原発が鹿児島県にありますが、これの再稼動に向けて審査をしてきたんですが、報告書の案というのがこの間、公表されました。これは一応、手続きとしてはパブリックコメントというみなさんからご意見を受けますよということなんですが、事実上、合格証になるというのが16日に出ました。

地元の自治体は県知事も、それから薩摩川内市ですか、薩摩川内市の市長もぜひ、もう来てくれと。来てくれというか、動かしてくれと。こういう姿勢で薩摩川内市なんかも、もうちゃんと避難計画もつくりましたからなんてやっていますね。伊藤県知事も原発から30キロ圏までつくるのは無理だからとりあえず10キロぐらいでいいんじゃないかみたいな、非常にいい加減なことで再稼動を進めようとしています。

滋賀県知事選がその直前の日曜日にあって、嘉田知事の後継と言われている三日月元民主党の衆議院議員が当選して、自民党が推していた小鑓さんという経産省出身ですからもちろん再稼動派なんですけど、その人が落選して、これは脱原発派は勢いがつくぞというようなことだったんですけれども、そんなことは一切関係なく、再稼動に邁進していくということです。

この間のメルマガにも書きましたけど滋賀県知事選で勝った三日月さんというのは必ずしも本当の原発反対派ではないんですね。もともとはどっちかっていうと、原発は動かさなきゃしょうがないですねというようなことを平気で言っていた人ですし、卒原発を主張していましたが、卒原発というのは段階的に減らしていきますということですから、今はゼロなので段階的に減らしていきますということは一回、動かさないと段階的に減らすということにはならないので結局、再稼動を認める派なんですね。

ということで、そういう意味であまり再稼動を止めることについての力にはならないなというふうに思っています。おそらくどうなんでしょう、9月中に動かせれば国会が始まっていないですね。今の空気では10月になっちゃうんじゃないかというような話もありますけれども、なるべく早く動かしちゃって、国会でもちろん批判はされるんだけれども「もう動かしちゃいました」ということで逃げ切ろうという作戦かなと思うんですね。

ちょっとそこが難しいんですけど、これは国会で議論したら避難計画というのは実質的にできていないので、これはほとんど議論すると倒れるとは思うんです。でも、実際に動き始めちゃってから議論すると、やってもどうせ止まらないやという感じもあって、地元も喜んでいるとか。

それから一番僕は心配なのは九州電力がもしかすると電気料金を下げるというんじゃないかなというね。今はもうギリギリですと言っていて、とても値下げなんかできないというような計算なんですがリストラとか、いろんなことを努力をした結果、多少下げられるんですみたいな宣伝をやってくる可能性があって、そうするといやあ、よかったじゃないかというような雰囲気づくりがされるんじゃないかな。

安倍首相の二枚舌

古賀: もう安倍さんは九州の財界のトップに「再稼動は何とかします。任せてくれ」みたいなことを言っちゃって、これは本当におかしなことだと思うんですね。政府が責任逃れのために再稼動を決めるのは最後は事業者ですよと言っているんですね。安全を確保するのは規制委員会です。だから規制委員会が安全だと言ってくれたものについて地元の理解が得られて、事業者が動かすんだったら動かしたらと。その途中にはだれも。政府の責任というのはどこにも入っていないわけですよ。そうやって逃げているのにもかかわらず、九州の財界には私が動かしてあげますといって恩を売っているという。

これは本当に二枚舌もいいところで、そう言うということは逆に言えば安倍さんが動かすということについて力を持っているということですよね。本来であれば私は何もできないんです。もうこれは独立した規制委員会が決める話だし、地元が同意するかどうかということですから、私は何もできませんよというのが本当は正しい答なんですけど、いかにも自分が圧力をかけて動かしているんですよというような恩を売る発言をしているという。国会で圧倒的多数を持っているという非常に奢った政権だなというふうに思いますが、こういうことをマスコミもあまり大きく取り上げない。

これは単に再稼働しますと言ったということだけではなくて、その性格ですね。なぜ安倍さんがそういうこと言えるのかという、そういうところの追及がないというのは非常におかしなことじゃないかなというふうに思います。これでもしも川内原発再稼動ということになればゼロから最初の一基を動かすというところが一番ハードルが高いんですね。摩擦係数と同じで止まっているものを動かす最初の動かすところが大変で、実際に動き始めてくるとそこでの摩擦というのは最初の摩擦に比べれば非常に小さいというのが物理学の法則ですけれども、それがちょっとここにも当てはまるんじゃないかと。

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol099
(2014年8月1日配信)より