「安倍政権の命運」---今度の第二次安倍政権の特徴は、とにかく支持率というものに敏感

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン Vol099より

〔PHOTO〕gettyimages

支持率が下がった安倍政権

古賀: 安倍政権に対する支持率がかなり下がってるんですけど、流れが変わったんじゃないかというような話が出ています。まず、そこら辺についていろんな見方を紹介したり、私の考え方もちょっとお伝えしたいなというふうに思います。

今度の第二次安倍政権の特徴は、とにかく支持率というものに敏感だということです。支持率を維持していくということを、まるでそれが政策目標であるかのような政権運営をしているなというふうに私はずっと感じてきたんです。最近、そういう指摘もだいぶ増えてきているなと思うんですね。

従来の自民党政権ではだいたい毎年、総理が代わる、長くて2年とか、小泉さんのように、一部例外はありましたけれども非常に短く交代していくというのが当たり前だったんです。けれども、今回の安倍さんはそうじゃなくて最低もちろん4年、できればもう1回、勝って、その次の任期まで続けたいという気持ちがあるわけです。

そうすると当然のことながら選挙に勝つための支持率というのに非常に敏感になる。いかに支持率というのが、何か失敗して1回下がっていくとそれを止めるのは難しいかというのを身をもって体験しているから、そういう支持率を大事にするという考え方になるんじゃないかなと思うんですね。もちろん支持率が下がっていけば、おそらくどこかで、

「いや、支持率なんかにとらわれてはいけません。やっぱり正しいことをやるためには支持率が下がってでもやらなければいけないときがあるんです」というセリフが必ず出てくると思います。

けれども、その支持率を維持するためにいろんな手法があるんですね。

小泉さんがやったのは「改革というのは善である」というテーマ設定をして、その改革への抵抗勢力という、国民の敵というものをつくり上げて、「自民党にはそういう人がたくさんいる、自民党をぶっ壊す」とやった。対立構造をおもしろく見せることによって支持率を上げるという方法ですね。

民主党のときもそういうのが多用されて最初のころは何かあると、とにかく小沢一郎というのは悪い。民主党は一生懸命やろうとしてるんだけど小沢というのがいるからどうにもならないんだと、何かというと小沢たたきをやって、それで支持率を上げようとした。最初のうちはちょっと成功したこともあったんですが、だんだん国民が飽きてきて相手にされなくなっちゃったというのがあります。

反中国、反韓国そして株価維持

古賀: 今回の安倍さんの支持率の上げ方というのは二つあって、一つはやっぱり敵をつくるという手法では共通しているんですけど、それは日本の国内につくるんじゃなくて中国とか韓国というところを悪者に仕立て上げて、中国、韓国というとんでもないやつらがいるのでそこと何とかして戦わなければいけないんです。私をサポートしてください。私はがんばっていますという。反中、反韓、嫌中、嫌韓っていうんですか、そういう層に訴える。靖国参拝っていうのもそういうネット右翼といわれる人を含めたやや右寄りの人たちへのアピールですね。それで支持率を上げるというのが一つ。

それからもう一つはもうちょっと一般大衆向け、あるいはビジネス向けに株価を上げるということを一つの柱にしてきて、最初の金融緩和と円安で株価が8000円台から15000円、6000円と急激に上がりましたので、これは非常に支持率を上げるのに役に立ってきた。ただちょっと期待が大き過ぎて、その後、政策があまり出てこないものですから16000円までいったけど、また下がって今は15000円ちょっとぐらいを行ったり来たりみたいになっていますけどね。

たぶん安倍さんの計算では集団的自衛権はある程度、強引にやらざるを得ないと考えていたんだけど、そうするともちろん支持率はちょっと下がるかもしれない。でも成長戦略で株価を上げる秘策をいくつか準備したので、それで何とか戻したいというのがあったと思うんですね。

株価を上げる秘策というのが一つはGPIF、年金の基金ですね。みんなが年金を払って貯めたお金の運用について今まではそういう大事なお金だから国債で慎重に運用しましょうというのが基本で、株とかそういうものはちょっと危ないからなるべく少なめにといっていたんですけれども、これをもっと株とか、そういうリスク資産に振り向けろと。今、市場はそれでGPIFがどんどん日本の株を買うんじゃないか、あるいはもう買い始めているんじゃないかということで期待を高めるというのが一つ。

それからもう一つは法人税の減税、これをやって、減税してくれりゃ、とりあえず利益が出ている企業から見れば直接、キャッシュでもらっているのと同じような話なので、当然、株価にも非常にプラスだということでそういうことをやったんですけど、ちょっとやり方があまりうまくなかったというのもあって、ほとんど市場は反応しないで無視されました。

なぜ地方創生、女性活用か

古賀: その一方で集団的自衛権で多少支持率が下がるというのは計算してるけど、それをリカバーする方策という、そっちのほうがちょっとむしろ誤算で、とりあえず今は一回、休もうということですね。このまま臨時国会に集団的自衛権の法案をどんどん出して、公明党ともまた対立してその中でゴリ押ししていくというのはあまりにも急激な坂を転げ落ちるようにというふうになっちゃいけないというので一回、休みにすると。

最近、安倍さんが女性を活用するとか地方をもう一回、元気にしましょう、地方創生なんていってやっています。地方に対しては地方担当の大臣を内閣改造をやるときにはつくりたいみたいな話も出ていますけれども、安倍さんというのは最初にいったように非常に支持率を気にしています。集団的自衛権で支持率は下がったわけですけれども、その下がったところというのがどういうところかというと、一つは地方で、理解が進んでいないというのがあるんですね。

地方、特に見ていて非常に気がつくのは地方の新聞はほとんどが集団的自衛権反対です。全国紙はその一方で、大きく二つに分かれていますよね。それで産経とか読売、日経は集団的自衛権支持、朝日、毎日、東京は非常に反対するような立場を出しているんですけれども、地方紙が非常に反対が多い。そういう意味で地方で支持率が下がると非常に困るなということで地方を大事にしてますよということで支持率を上げようとしている。

それから集団的自衛権には女性の反対が非常に強いんですね。この秋、また原発再稼動というのもありますけれども、ここもやっぱり女性の反対が非常に強いということで女性にやさしい、女性をサポートする安倍政権というイメージを非常に強く打ち出していくということで、そこの部分を何とかリカバーしたいということだろうなというふうに思うんです。そこら辺も非常に安倍政権というのは支持率というのを考えながら政策をやっているなというふうに思いましたね。

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol099
(2014年8月1日配信)より

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