「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第54回】 明確に意識され始めた欧州リスク

〔PHOTO〕gettyimages

段階的に強まるロシアへの経済制裁

8月5日、ロシアが4万5千の兵力、及び160台の戦車、1千台の装甲車をウクライナ国境付近に配備したというニュースを材料に、米国株は大きく値を下げた。

それ以前に、すでに、米国の地政学研究家であるジョージ・フリードマン氏が、欧米主要国による経済制裁で窮地に陥ったロシアによるウクライナ進攻の可能性を指摘し、ポーランド大統領がロシアのウクライナ侵攻の可能性に警戒の念を表明していたが、この現実性が急激に高まったことから、地政学リスクが一気に台頭してきた格好である。

欧州主要国はドイツを中心に、エネルギー資源の多くをロシアに依存してきた。特に、ドイツは、東ドイツの統合を機に、東欧諸国との経済関係を緊密化させてきたが、その通商・経済政策の一環としてロシアとの友好関係も深めてきた。一時はNATOの存続が危ぶまれるのではないかと米国が警戒したほどであった。また、同時にフランスもロシア近隣諸国への投資を積極化させてきた。

そのため、米国がロシアに対する経済制裁で憂慮したのは、欧州のロシアに対する経済制裁が事実上、「骨抜き」になってしまう点であったはずだ。ロシアへの経済制裁が段階的に強まる状況下で、米国金融規制当局がドイツやフランスの金融機関に対する監視の目を厳しくし始めているのも偶然ではないのかもしれない。

図1. 世界市場のパフォーマンスランキング
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