[虎四ミーティング~限界への挑戦記~]
釜本邦茂(サッカー解説者)<前編>「求む! 一貫性のある監督選考」

二宮: 今回は先月9日に発売開始した『炭火塩だれとりマヨ丼』をご一緒に食べながら、日本サッカーへの忌憚のない意見をおうかがいしたいと思います。
釜本: これは初めて食べるけど、『炭火塩だれとりマヨ丼』は、からしマヨネーズが効いていて、僕は好きだな。とてもおいしいですよ。

二宮: いきなり、シュートを打ってこられましたね(笑)。
釜本: いや、僕はおいしいものはおいしいと、はっきり言う性格だからね。ストライカーだからかな(笑)。

二宮: ところで釜本さんは現役時代、食生活はもとより体重の増減にまで気を配っていました。今でも健康面で気を付けていることはありますか?
釜本: いや、もう特別なことはしていません。ただ、3食きちんと決められた時間に食べるようにしています。あとは体重を85キロぐらいでコントロールしていますね。一時88キロになって、ヒザが痛くなったんです。サッカー教室をすると3時間ほど立っていなければならないので、ヒザが痛いと務まらない。それからは体重をキープするように心がけています。

二宮: さて、先日、日本サッカー協会は、日本代表の新指揮官としてハビエル・アギーレ監督の就任を発表しました。W杯ではメキシコ代表の監督として、2002年日韓大会、10年南アフリカ大会と、いずれもベスト16に導いた実績を持っています。アギーレ新監督の能力は別として、釜本さんは「日本人監督でもいいのでは……」というご意見でしたね。
釜本: そうです。サッカー協会がコーチングライセンスの制度を設立して、はや20年。今やJリーグのチームや代表の監督ができるS級ライセンスを持っている人は、何百人といるわけです。しかし、W杯を任された日本人監督はほとんどいません。1998年フランス大会の時は、アジア最終予選の途中で加茂(周)さんから後を継いだ岡田(武史)が本大会でも指揮を執りましたが、その後はフランス人の(フィリップ・)トルシエ(98~2002年)、ブラジル人のジーコ(02~06年)と続いて、10年南アフリカ大会に関しては、最終的には岡田が監督に就いたものの、スタートはボスニア・ヘルツェゴビナ人の(イビチャ・)オシムでした。そして今回のブラジル大会までの4年間をイタリア人の(アルベルト・)ザッケローニが率いた。つまりほぼ外国人任せの状態が続いているんです。さらに言えば、選んだ監督にも一貫性が見られない。果たして、この間に日本のサッカー界に何が残ったのかと疑問を抱かざるを得ません。

二宮: サッカー協会がJリーグを創設したのには、地域密着、選手育成はもちろんですが、指導者を育成しようという狙いもありました。例えば、現在のJリーグには12、13年と広島を連覇に導いた森保一監督がいます。このように優秀な日本人指導者も育ちつつある。
釜本: その通りですね。ほかに国際大会を経験した日本人監督もいる。五輪では、山本昌邦、反町康治、関塚隆が、それぞれアテネ、北京、ロンドンと指揮を執りました。しかし彼らは五輪後、協会に残ることなく、クラブチームの監督に就いた。五輪代表チームの監督を任せたわけですから、協会が彼らをもっと活用できるような対応の仕方もあったんじゃないかと思うんです。A代表の岡田も含めて、協会は世界の舞台で戦った人たちをちゃんと残しておかないといけない。新しい指揮官へのアドバイスなど、次の大会に向けて、フィードバックできるような環境を作るべきだと思うんです。

二宮: 技術委員会でブラジルでの戦いぶりを検証し、コンディション調整の失敗などを挙げていますが、多少おざなりになったような印象を受けます。
釜本: 僕もそう思いますね。やはり日本人の特性に合ったサッカーはどういうものか、それをはっきりさせなければならない。今回優勝したドイツみたいなサッカーをやれと言われてもできるわけではありませんから。

二宮: メキシコ人のアギーレ監督は、母国メキシコの代表監督として成功を収めました。確かにメキシコ人は日本人同様に、他の海外選手と比べても身体は決して大きくない。その部分では共通しているかもしれませんが、一致しない部分もたくさんあります。
釜本: そこなんですよ。かつて64年の東京五輪に向けて、ドイツ人の(デットマール・)クラマーを招聘したわけですが、68年のメキシコ五輪後、しばらくすると“クラマーの時代は終わった”となった。すると当時、ポーランドが強くなってきていたから、“ポーランドのサッカーがいい”と言われ始めたんです。さらにオランダが台頭し始めると、“全員攻撃のオランダのサッカーがいい”と……。そういうやり方で日本はずっと来ているわけです。

二宮: もっと自らの足元を、しっかり見つめろと?
釜本: 世界の流行を追いかけて、コロコロ変わるところが問題ですよね。日本サッカーの本質は、機動力を生かすことにあると思うんです。日本人には機敏性に加えて協調性もあります。組織をうまくつくるのは日本人の特性ですよね。足りないのは、前線に野性的な選手がいないこと。中盤には優秀な人材がたくさんいるわけですから、今後は点を獲る選手を発掘しないといけませんね。