「増税なき財政再建」は可能だ!政府にとって「不都合な事実」となっている小泉政権の実績

7月30日に公表された6月の鉱工業生産統計生産指数が前月比3.3%低下しているのを見て、さすがに一部の官庁幹部や民間エコノミスト、マスコミも騒ぎ出してきた。

業種別で見ると15業種のうち14業種が低下、1業種が横ばいで、上昇した業種はなかった。もっとも、6月30日付の本コラム(→こちら)からご覧になっている読者は、何を今さらであろう。

特に在庫は問題のある数字で、意図せざる在庫が積み上がっているような数字になっている。7月21日付の本コラムで紹介した在庫循環図(→こちら)を更新したものをみると、それがうかがえる。

景気循環の過程で、右回りの円を描くように動く。5月の段階より、6月のほうが円を4分の3周したかのような位置になっており、これは、5月より6月のほうが景気が下降局面に移行しつつあることを示唆している。

そもそも今回の消費税増税は、過去2回の時と比べて景気後退を起こしやすい。それは景気の状況と、ネットで考えたときの増税インパクトの違いからである(下図参照)。

こんなに悪い数字ばかりなのに、政府の見解は「景気は持ち直している」と、決して景気が悪いと言わない。7月17日に公表された月例経済報告や25日に公表された経済財政白書も、まったく同じトーンで書かれている。統計を素直に見ればちょっと違うだろう。少なくとも、前回1997年の消費税増税の時より悪い数字だ。

昨年秋に政府は消費税を増税しても景気は大丈夫と判断し、増税を強行したから、今さら景気がまずいとは言えないのだろう。

増税勢力が発するデマ

7月25日には、経済財政に関する中期試算を公表している。その中で、プライマリー収支(基礎的財政収支)について、2013年度は29.6兆円(対名目GDP比▲6.2%)だが、2020年度は11兆円(対名目GDP比▲1.8%)の赤字となり、それまでの黒字化実現が困難としている。あたかも、暗に増税を求めているようにも読める。この意味でも、政府にとって消費税増税の失敗はあってはならないのだ。

これまでのプライマリー収支の実績を見よう。名目GDP比でみると、2003年度▲5.6%であったのが、2007年度に▲1.1%まで改善した。2008年のリーマン・ショックがなければ、2010年度には小泉政権での公約通りにプライマリー収支はゼロになっただろう。ちなみに、2007年1月の中期試算では、2010年度のプライマリー収支は0.2%と、財政再建が達成されるとされていた。

この間、2003─2010年度の名目GDP成長率は平均で1.8%程度だ。この程度の名目GDP成長と歳出ムダカット等によって、プライマリー収支の均衡はできる。実際、過去のデータ分析によれば、プライマリー収支対名目GDP比率は前年の名目GDP成長率でほとんど説明できる。

増税をした場合、タイミングによっては名目GDP成長が低下するので、財政再建は元も子もなくなる。こうした過去のデータによれば、財政再建のために必要なのは増税ではなく、名目GDP成長である。

小泉政権時代に、増税なしでほぼ財政再建が達成できたという事実は語られない。むしろ、社会保障を削減したとか格差が広がったなどと事実でないことが言われる。

社会保障の伸び率は小泉政権でも高いままだ。伸び率をわずかばかり押さえた程度で、伸び率はプラスのままだった。それに、国際機関のデータから、小泉政権の格差は他に比べて拡大していない。こうしたデマは、増税なしで財政再建できたという事実が不都合になる増税勢力から発せられていることに注意したほうがいい。

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