【環境 その3】 核のゴミを最大限再活用し、地球環境に優しいエネルギー政策を!
オルキルオト原子力発電所〔PHOTO〕gettyimages

フィンランドのオルキルオトをご存知だろうか? 世界で最初に高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設が決まり、現在、その建設が進んでいる土地だ。深さ420mの処分地点は、厚い岩盤に覆われ、20億年前からほとんど変化していないという。

フィンランドでは、1983年から候補地の調査が進められ、当初は反対運動もあったが、税収や雇用増の見通しなどによって2003年に建設許可が下り、2020年の操業開始に向けて建設が進められている。

一方、日本では、最終処分場候補地選定の目途は立っていない。避けては通れないこのやっかいなゴミ問題にこれまで政府は正面から向き合おうとしてこなかったからだ。

言っておくが、いかなるエネルギー政策をとるにしても、原子炉が現在、国内に50基(福島第一原発を除く数)存在していることに変わりはない。このため、稼働しているか否かを問わず、「放射性廃棄物の処分」「廃炉」の問題からは逃れることができない。従って、原発の賛否を問わずに、前向きにそれらを解決し、「原子力・エネルギーの安全なマネジメント」「環境に優しいエネルギーミックス」を考える必要がある。

我々はこれらの現実を直視した上で、地球環境を守るためにどうすべきかを考え、現実的な行動を選択する必要がある。

1. 核のゴミ問題に正面から取り組め! 最終処分場の選定には政治力の発揮を!

冒頭で述べたように、国内に50基の原子炉がある以上、我々は核のゴミ(放射性廃棄物)の処理の問題を避けて通ることはできない。

原子力発電所で使われた燃料(使用済燃料)には、原子燃料がエネルギーを発生する過程で生じた放射能レベルの高い物質が含まれる。日本では、これを再処理してウランやプルトニウムを取り出し、それでも利用できない部分をガラスで固化しステンレス製の容器(キャニスター)に入れてガラス固化体として処分するようにしている。2014年現在、これまでの原子力発電に伴って生じた使用済燃料で、すでに約2万4800本のガラス固化体が発生する計算となる。

この数が多いかどうかだが、家庭や工場等で利用する全ての電力の半分を原子力発電でまかなうとした場合、発生するガラス固化体の量は、日本人1人の一生(80年計算)あたり、「ゴルフボール約3個分」に相当するという。人生80年生きて使った電力の半分を、CO2を排出しない原子力でまかない、1人あたり「ゴルフボール3個分」の高レベル放射性廃棄物ができるわけだ。

CO2を大気中に垂れ流して、「トイレが無いマンション」状態で地球環境を悪化させるよりも、「ゴルフボール3個分」をしっかりと管理する方が、明らかに地球環境に優しいと言えよう。だが、その最終処分地が確定していないのだ。現代に生きる我々の責務として、責任を持ってその最終処分地を決めることが必要であろう。

政府は放射性廃棄物の処分のために、2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき、電力会社などが拠出して「原子力発電環境整備機構(NUMO)」を設立した。ガラス固化体約4万本を地層300メートル以深の深い地層に埋設し、人間の生活環境から隔離する計画だ。

最終処分にかかる費用は、再処理にともなって発生するその他の廃棄物の処理・貯蔵・処分費用を含めても、原子力発電の発電コストの約3%だ。総額では約3兆円と試算され、毎年電力会社が積み立てを進め、既にNUMOに約1兆円が積み立てられている。

「地層処分よりも良い処分方法がでてくるかもしれないので暫く様子を見るべきだ」という議論もあるが、それでは将来世代への問題の先送りだ。原子力推進・反対どちらの立場を取るにせよ、原子力の恩恵を受けてきた我々世代の責任で、将来世代へのツケ回しをすることなく、今、解決することが大切だ。

しかし、候補地の選定は難航している。日本では「自治体から立候補を受け付ける」という受け身の姿勢で処分地選定作業が行われてきた。候補が挙がっては、各地に活動家らが侵入し、反対にあって消え去った。結局、最終処分場選定問題はこの10年以上進展していないのだ。

これまでのようなプロセスを続けていては、未来永劫決まらないであろう。実際、世界の各国でも処分場を最終的に決められたのは、現在のところフィンランドとスウェーデンだけであり、その他の国では難航している。米国やドイツでも、進んでいた候補地が白紙撤回されるなど、最終処分場はいまだに決定されていない。

人類共通の課題ともいえる最終処分場問題の解決に、日本も本腰を入れて取り組まなければならない。これを進めるには、政治力が必要だ。原子力を利用する我々人類の責務として、強い政治のリーダーシップのもとに、最終処分場の選定を進めるべきだ。

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