もっと!科学の宝箱
2014年08月12日(火)

キーワードは"のんびり"。小笠原諸島のカタツムリは生物進化の縮図だった!

~絶海に浮かぶ島に棲む生命の神秘~

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小笠原の代表的なカタツムリ「カタマイマイ」
東北大学大学院生命科学研究科教授
千葉 聡先生

1986年、東京大学理学部地理学教室を卒業。東京大学大学院理学系研究科を経て、現在は東北大学大学院生命科学研究科生態システム生命科学専攻教授。四半世紀にわたり、小笠原諸島の生態系を研究

小笠原は、カタツムリの楽園

松尾貴史(以下、松尾) 進化生物学者の千葉聡先生は、小笠原諸島で四半世紀にわたり、カタツムリの生態を追い続けているとうかがいました。まず、小笠原諸島について教えてください。

千葉聡(以下、千葉) 小笠原諸島とは、東京湾から南に1000キロメートル以上離れた、太平洋上にある島々です。よく"絶海の孤島" という表現がありますが、小笠原の周囲はまさに絶海といえます。それぞれの島はとても小さく、いちばん大きな父島でも面積は約25平方キロメートル。クルマで道路を走ると1周約30分でまわれてしまうほどのサイズです。

松尾 本土から1000キロも離れているんですか! でも、東京都なんですよね?

千葉 ええ、東京都です。しかし、もともと小笠原諸島は火山島で、今まで一度も陸続きになったことがないのです。そのため風や波などで運ばれてきた生命が、隔離された環境で独自の進化を遂げました。結果、姿、形、性質が本土とはまったく異なる生物がたくさんいるわけです。

松尾 では、生態系に人間の影響がまったく及んでいない島だったわけですね。

千葉 ええ、人間が移り住むまでは、ほんとうにそういう状態でした。人がペットとして連れてきたり、船の積み荷などに紛れて運ばれてくるまでは、島にはカエルなどの両生類は1種もいませんでした。哺乳類もコウモリ1種を除いてはいなかったんです。

現在でも、生息している昆虫の約30%は固有種、植物では木本(もくほん)植物といういわゆる"木になる" 植物の70%が固有種だと考えられています。つまり世界中で小笠原だけに生息する種だということです。

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