[野球]
上田哲之「吉田(東海大相模)のスライダー、和田(カブス)のストレート」

 1年前、彼のことをどう書いたのだったかな。気になって当欄のバックナンバーを調べてみた。
<ストレートは144~145キロ。スライダーが鋭い。(中略)2年後にドラフトにかかっても不思議はない>
 彼とは東海大相模の右腕・吉田凌である。1年生だった昨夏は、神奈川県大会準決勝の横浜戦で先発。好投したが6回に横浜打線につかまり涙をのんだ。2年生になって迎えた今夏、東海大相模は再び準決勝で横浜と対戦し、リベンジを果たす。吉田は、向上との決勝戦に先発して8回2/3をゼロ封、3安打、20奪三振のド派手な快投を見せた。今夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)の主役のひとりに躍り出たと言っていい。

 決勝を見る限り、1年の時よりスライダーの比率が増えた。しかも、曲がりが大きくなった。昔の大投手のカーブは一度浮き上がってから曲がり落ちた、と言われるが、打者からすればそんな感じではあるまいか。上から下へ、タテに大きく曲がり落ちる。落差が大きく、キレが鋭いから、高校生の打者ではなかなかバットに当てられないだろう。

 スライダーで20奪三振の神奈川の好投手というと、どうしても松井裕樹(桐光学園-東北楽天)を思い出す。左右の違いはあるが、キレ味鋭いスライダーを武器にしているところは共通する。ただ、軌道の質はやや異なると思う。松井のスライダーは、まず高めにストレートを投げておいて、その同じ軌道から、いわば地面にめりこむように曲がり落ちた。吉田のスライダーは、一度ストレートの軌道より上に浮き上がってから大きく落ちるように見える。吉田の方が曲がり幅は大きいかもしれない。しかし、その分だけ、甘くなって高めに入ってしまう可能性も、少なくとも現時点では、松井よりも高いように思う。いずれにせよ、来年のドラフトの目玉という、1年前の見立てを変更する必要はなさそうだ。