入社4ヵ月で単身ミャンマーへ、貧困地域でオーガニックハーブ栽培
今年7月にミャンマーに渡った田崎さん

田崎沙綾香さんは入社4ヵ月で単身ミャンマーへ渡った新入社員だ。今年4月、ソーシャル・ビジネスを行うベンチャー企業に入社し、無農薬でできたハーブティを販売する部署に配属された。最低2年間は同国に滞在し、現地の貧困地域で、無農薬ハーブの栽培指導を行い、自立支援を行う。

田崎さんが入社した会社は、ボーダレス・ジャパン(東京・新宿)。配属された部署では、オーガニックハーブティ「AMOMA natural care」の企画・販売にかかわっている。無農薬なので、妊娠期や授乳期の母親に親しまれている商品だ。

ハーブティは乾燥した茶葉に直接お湯を注ぐため、農薬を使用している場合、コップに薬が広がってしまう。農薬で子どもに影響を与えたくないという母親の思いに応えた。原料となるオーガニックハーブはアジアやアフリカなどの貧困地域における小規模農家からフェアトレードで購入している。

このほど、田崎さんがミャンマーに渡ったのは、オーガニックハーブの栽培農家を増やすためだ。今年5月に上司と2人で10日間ほど、同国で現地視察を行った。複数の農村を周り、同国北東部にあるシャン州のリンレイ村に決めた。その村では、電気も水道も通っておらず、200世帯の全員がタバコ栽培で生計をたてている。

リンレイ村の畑。ここでオーガニックハーブ栽培を始める

しかし、農薬を使っているため、病気で苦しむ人たちも少なくない。田崎さんがこの村に決めた理由の一つに、現地のとある女子高生との出会いがある。その子の母親は、農薬の影響で病気になってしまい、女の子は家計を支えるため高校を辞めて働かざるを得なくなってしまったのだ。

田崎さんは、その女の子から話を聞いたとき、自身の母親が乳がんになってしまった幼いころのことを思い出した。母親は、科学療法を取らず、オーガニックの食物だけを食べるゲルソン療法で無事完治した。田崎さんがオーガニックに関心を持ち始めたのは、この出来事が原体験にある。

最大の狙いは、「農家の自立」

国際協力に関心を持ったのは、パリダカに選手として参加していた父親の影響。父親が大会中に撮影したアフリカの貧困地域の写真を見て、搾取されて経済的に苦しみ、農薬で病気にもなる農家の現状に問題意識を持ち始めたのだ。

偶然、実家がある茨城県つくばの近くにJICA(国際協力機構)の施設があり、田崎さんは、学校帰りにセミナーに参加し、勉強するため図書館にも通いだした。その施設では、途上国の農村開発を主に担当しており、田崎さんの関心分野と重り、自然と意識は農村開発に向かった。

高校2年で、JICAと茨城県が主催したカンボジアへの農村開発スタディツアーに参加。高校卒業後は、東京農業大学国際農業開発学科に進んだ。途上国の農村開発を研究し、大学3年では、1年間休学して、インドでNGOの農業開発研修にもかかわった。

子どもの頃からの夢であった貧困地域の農村開発に挑む

田崎さんは、入社したばかりの新入社員であるが、農業開発の知識や経験はゼロではない。2年間は日本に戻らないが、不安はないという。「ずっとしたかったことが、入社4ヵ月でできるようになった」といううれしさが増しているのだ。

同国で現地パートナーを採用し、リンレイ村の農家に説明し、1世帯でも多くオーガニックハーブ栽培を導入していく。事業の最大の狙いは、「農家の自立」と語る。途上国の農家は、大量の農薬で病気になるリスクが高く、輸出先の先進国から搾取されているケースが多い。

現状をビジネスを通じて変えるため、同国で実績をつくり、アジアやアフリカのほかの貧困地域にオーガニックハーブ栽培を広めていくことをめざす。

田崎さんが取り組む「AMOMA natural care」はこちら

(取材・構成/オルタナS副編集長池田真隆)

「いまここ」に若者視点をプラスするエシカルメディア「オルタナS」の記事より一部編集・掲載)

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