伊藤博敏「ニュースの深層」
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ベネッセ「中興の祖」福武總一郎最高顧問の
「脱日本」相続対策と「現代アートの聖地」作り

2014年07月31日(木) 伊藤 博敏
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「自分と一緒に『よく生きる』人がいなければ幸せにはなれない」。社名ベネッセになぞらえて福武總一郎氏は人生哲学をこう語っていた(『セオリー リアルリッチの世界Ⅲ』2008年刊より)

顧客データ2300万人分流出の情報漏洩事件に揺れるベネッセホールディングス(ベネッセHD)は、「進研ゼミの福武書店」の頃から連結売上高4660億円(2014年3月期)の東証一部上場となった今も、福武家の会社である。

ベネッセ最高顧問の人物像

筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行で15.44%を所有するが、そのうちの大半の1362万株(13.29%)は、福武總一郎最高顧問とれい子夫人が全額出資するニュージーランドの資産管理・投資法人「イー・エフ・ユーインベストメント」が拠出したもの。他に、總一郎氏が理事長の福武財団が4.88%の株式を持ち、總一郎氏の妹など親族の持ち株を合わせると3割近くなり、圧倒的な大株主だ。

ベネッセの創業者は、總一郎氏の父・哲彦氏。もともと手帳の会社だったが、新規事業として始めた通信教育の「進研ゼミ」が大ヒット、教育・受験産業の大手となった。哲彦氏が1986年に急死。当時、資本金6億円、売上高593億円を今の規模にしたのは、總一郎氏の手腕である。

總一郎氏の人物像は、それほど知られていない。本社を創業地の岡山に置き、プライベートでは経営者と付き合わず、財界活動をほとんどしないせいもある。

ベネッセとは、ラテン語の「bene(よい、正しい)」と「esse(生きる、暮らす)を組み合わせた造語。95年に社名をベネッセに変更するのだが、辣腕経営者のもうひとつの顔が、瀬戸内に浮かぶ直島を「現代アートの聖地」にした文化・芸術の愛好家にして、企業メセナの推進役である。

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