高視聴率でスタートした『HERO』の成功のカギは、社会の変化を脚本に反映できるかにある!
フジテレビHPより

リアルタイムでの視聴を促した続編初回の『HERO』

7月ドラマの視聴率レースの序盤戦は、木村拓哉が主演する『HERO』(フジテレビ)の完勝だった。初回の視聴率は26.5%。『半沢直樹』、『家政婦のミタ』の初回を軽く超えた。

『HERO』の初回は、「リアルタイムで見たい」と思わせることに成功したから、目に見える高視聴率となったのだろう。13年前の旧作はキムタクにとって最大のヒットドラマ。「久しぶりの続編を早く見たい」という人が多かったに違いない。PRが過不足を感じさせず、巷の話題性は十分だったから、「とりあえず、見ておきたい」と思った人も少なくなかったのではないだろうか。

テレビを見ることを交通機関にたとえると、リアルタイムの視聴は鉄道だ。時刻表に従わなくてはならないのと同じく、タイムテーブルに支配される。片や録画視聴はマイカー。時間的制約がない。どちらを選ぶかは視聴者にとって大きな問題ではないが、リアルタイムで見てもらわないと、視聴率には表れない。

第2話は19%。連続ストーリー形式だった『半沢直樹』や『家政婦のミタ』とは違い、一話完結方式だから、録画視聴者が増えたのかもしれない。「続編を早く見たい」と視聴者に思わせた初回とは事情が異なる。

旧作の『HERO』が放送されたアナログの時代とは違って、今やデジタル録画機器の世帯普及率が約6割以上。操作に手間がかからないうえ、画質もほとんど劣化しない。リアルタイムで視聴させるのは、マイカーのある世帯に鉄道を使わせるのと同じことだから、決して簡単なことではない。

日本テレビ専務の小杉善信氏から、20年前に聞いた言葉を思い出す。

「これからのドラマは、良い作品であるだけではダメ。早く見たい、次回もすぐ見たいと思ってもらわなくては」

当時の小杉氏は、最終回で37.2%の視聴率を獲得した伝説の連ドラ『家なき子』(1994年)のチーフプロデューサーだった。

小杉氏はバラエティーの世界でも『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』などの大ヒット番組を手がけた天才テレビマンである。凡人の筆者は20年前の時点では、「早く見たいと思ってもらわなくてはならないとは、どういうことだ?」と首を傾げた。