デジタル・エディターズ・ノート
2014年07月30日(水) 佐藤 慶一

アメリカにおけるローカルメディアと市民ジャーナリズムの可能性---注目の3事例を紹介

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〔PHOTO〕gettyimages

この連載では、これまで『バイラル、動画、ミレニアル世代、調査報道・・・影響力を増す海外新興メディアの視点』や『メディアの未来はどこにあるのか? ハフィントンポスト共同創業者ケン・レーラーの投資から分かること』といった記事で、海外の新興メディアの勃興や動向を伝えてきた。

今回は、アメリカにおけるローカルメディアと市民ジャーナリズムサイトに焦点を当てる。直近では、Atlantic Media(アトランティック・メディア)による、まちの課題やアイデアを紹介「CityLab」なども立ち上がるなど、よく動きがある分野だ。

この記事では、筆者が注目しているThe Texas Tribune(テキサス・トリビューン)、Honolulu Civil Beat(ホノルル・シビル・ビート)、GroundReport(グラウンド・レポート)の3つのメディアを紹介する。

The Texas Tribune(テキサス・トリビューン)

まず紹介するのは、非営利の地域メディアで知られる「テキサス・トリビューン」。 オースティン・ベンチャーズのベンチャーキャピタリスト、ジョン・ソーントン氏が中心となり創設した。

2009年のスタート前には、ソーントン氏が200万ドル(約2億円)、個人や法人からの寄付も360万ドル(約3.6億円)集めた。優秀なジャーナリストらでメディアづくりをおこなっており、CEO/編集長には、テキサスの月刊誌「Texas Monthly」にて18年間在籍し、編集長も務めたエヴァン・スミス氏が就任。ピューリッツァー賞受賞記者などをはじめ、現在は40名ほどの体制で運営している。

テキサス・トリビューンは、調査報道はもちろん、まちに関するインタラクティブなデータベースも作成している(データページはこちらから見ることができる。トラフィックの3分の1はデータページとなっている)。

2013年には、年間で600万人ほどが訪問、4000万ページビューを記録するなど、ローカルメディアとしては大規模なサイトに成長中だ。また同年、70回以上開催したイベントなどの収益もあり、120万ドル(約1.2億円)を売り上げた。

現代ビジネスの過去記事(2010年)でも、テキサス・トリビューンについては触れたことがある。参考までに該当箇所を紹介したい。

――調査報道は構造的にもうからない?

ハーン 面白いインターネット新聞がテキサスにあります。「テキサス・トリビューン」です。ベンチャーキャピタリストのジョン・ソーントンが昨年夏に立ち上げたNPOで、テキサスの政界動向について独立した視点で報道するのを目的にしています。

調査報道について彼のスピーチを聞いたり、彼から直接話を聞いたりする機会がありました。彼はベンチャーキャピタリストですから、最初に厳密なビジネスプランを作りました。そこで下した結論が「調査報道でカネもうけはできない」でした。

だ からこそジョンはNPOを選んだのです。彼自身も資産家ですが、NPOであれば広く寄付を集められます。実際、テキサスの著名な資産家や有力な慈善財団か ら資金調達しています(「企業乗っ取り屋」と呼ばれたT・ブーン・ピケンズも、テキサス・トリビューンに寄付した富裕個人の1人)。

調査報道NPOのウォッチドッグ創業者インタビュー「ジャーナリズムはビジネスになるのか」 「調査報道は公共サービス」「広告を出すスポンサーなんて皆無です」

The Texas Tribune(テキサス・トリビューン)
https://www.texastribune.org/
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