医療・健康・食 中国
「上海福喜食品」事件の本質は習近平政権によるアメリカ叩き! 次に「危ない」のは中国の日系企業か!?
上海福喜食品は米国の世界最大食肉加工グループが江沢民全盛期に上海に作った会社 photo Getty Images

中国の大手食肉加工会社である上海福喜食品が、使用期限切れの食肉を使っていた問題が、日本でも波紋を広げている。同社から食肉を仕入れていた日本マクドナルドとファミリーマートでは、チキンナゲットやガーリックナゲットなど鶏肉加工食品が販売停止に追い込まれ、連日大騒ぎである。

この問題に関して、日本のメディアは主に、「どうしたら食の安全が確保できるか」という観点から報道している。私も堤未果さんがパーソナリティを務めるFMラジオのJ-WAVEから電話をもらい、この観点からコメントを求められた。

それはそれで大事な問題ではあるのだが、今回の事件の本質は、明らかに習近平政権によるアメリカ叩きである。

問題を一つひとつ整理していこう。まず、日本人にはなかなか理解できないかもしれないが、中国では今回のようなことが日常茶飯事的に行われている。「どこでもやっていそうなことがたまたま発覚した」という感覚なのである。

米中友好の象徴的工場だった「上海福喜」

私は今回の事件発覚を受け、上海在住の知人(中国人メディア関係者)に、「微信」(中国版LINE)で、事の重大さについて聞いてみた。彼が私に返してきたメッセージは、次のようなものだった。

〈 今年に入ってからの中国における5大食品事件は、以下のとおりだ。
○灰で作ったラーメン
○殺虫剤入り鍋料理
○ウジ虫入りチョコレート
○ネズミ肉で作った餃子
○ろうそくを流し込んだ果物

ほかにも、避妊薬漬けのキュウリとか、毒入り粉ミルク、農薬だらけのお茶など、発覚する毒食品は枚挙にいとまがない。それに較べては今回の事件は、事件としてはベスト5はおろか、ベスト20にも入らない「ささいな事件」だ。上海福喜の工場の従業員が、隠しカメラの前で、「期限切れの食品を食べたって、死にはしないだろう」とコメントしていたが、そのとおりだ。この国には、食べたら死ぬ食品が溢れているのだから。 〉

そのうえで、このメディア関係者は、今回と同レベルの事件として、「蒙牛事件」を挙げた。

「蒙牛」(大手牛乳メーカー)が3月に、「2月30日製造の牛乳」を流通させて、話題を呼んだ。こんな日付はないのに、1リットルのパックの牛乳に「2月30日製造」と刻印して大量に販売していたのだ。つまり、中国では、製造年月日など、いかにもいい加減になっているということだ。製造年月日がいい加減なのだから、賞味期限もいい加減だ。だから「賞味期限が切れていた」と目くじらを立てることに、どれほど意味があるのかということになる。

このように中国においては、日本では想像もできないほどずさんな食の安全管理のもとで人々は生活しているわけである。だから日本人が「上海福喜はひどい」と怒るのも分かるが、「なぜよりによって上海福喜が、このタイミングで生贄として選ばれたのだろう?」という疑問も成り立つ。

上海福喜食品有限公司は、世界最大の食肉加工グループであるアメリカのOSIグループが、上海に作った会社である。上海市の公的書類によれば、1996年4月4日に、上海市嘉定区馬陸鎮陳村村陳宝路58号に、21000平方メートルの工場を作った。営業期限は2036年4月3日まで。中国との合弁会社ではなく、この時代には珍しい100%独資会社である。

当時の上海を牛耳っていたのは、「上海閥」の総帥・江沢民元主席である。上海浦東新区が開発される前の1996年に、これほど立地のよい場所に、東京ドームの半分ほどの巨大な工場を、アメリカの独資で作れるというのは、当時の国家主席である江沢民のバックアップがなければ不可能だ。アメリカはこの工場を稼動させたことによって、ケンタッキーやマクドナルドの店舗を中国全土に展開していったわけである。

つまり、上海福喜は、江沢民時代の米中友好の象徴的工場なのである。

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