43年前、夢の球宴で起きた奇跡その瞬間、西宮球場は異様な静寂に包まれた 江夏豊の「オールスター9連続奪三振」を語ろう
田淵幸一×長池徳士×土井正博

2万8000人が固唾を呑んで見守った真夏の三振ショー。後に「優勝請負人」と呼ばれた男が左腕一本で全てをねじ伏せたとき、奇跡の大記録が生まれた。

野武士たちとの真っ向勝負

田淵 この季節が来ると、あの日のことを思い出します。江夏の9連続奪三振。舞台は今はなき西宮球場でしたね。

長池 阪急のホームスタジアムなんやけど、あの日は超満員。少し雨が降ってたが、気にならないくらい球場は熱気に包まれとった。

土井 当時は人気のセ、実力のパと言われ、パ・リーグの試合はテレビ中継もほとんどなかった。俺も金田(正一)さんや村山(実)さんからオールスターでホームランを打ったことがあるけど、全国に中継される大舞台だからパの選手はみんな張り切っていたよ。

長池 お祭りやけど、真剣勝負の場やったな。

田淵 そのオールスターの第1戦。パ・リーグの野武士のような大物が並んでいるのに、江夏は全然怯んでなかった。「俺が主役だ」くらいの態度でした(笑)。

土井 江夏は三振が取れる投手として評判だった。こちらとしても、何とか打ち負かしてやろうと思ってたよ。