川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

ドイツとの協調路線に軋轢を生じさせたアメリカの"スパイ大作戦"

2014年07月25日(金) 川口マーン惠美
upperline
ドイツ連邦議会議事堂と在ドイツアメリカ大使館 〔PHOTO〕gettyimages

外交官待遇のCIA最高責任者がまさかの国外追放

マレーシア航空機の事件で、ほかのニュースは吹き飛んでしまったが、その1日前まで、イスラエル情勢と並んでドイツのメディアを騒がせていたのは、アメリカのスパイ大作戦だった。

というのも、7月10日、ドイツ政府が、ベルリンのアメリカ大使館に外交官として勤務していたCIAの最高責任者に、国外退去を命じたと発表したのだ。早い話が"追放"。これには皆、びっくりした。いくらドイツが腹を立てているといっても、まさか外交官待遇のアメリカ人、しかも大物を放り出すとは、ドイツ国民もアメリカ政府も夢にも思っていなかった。アメリカは、イランや北朝鮮とは違うはずだ。

アメリカとドイツの関係がぎくしゃくし始めたのは、去年7月、元CIA職員のスノーデン氏が機密情報を持ってアメリカを離れてしまった事件に端を発する。アメリカにしてみれば、それが悪夢の始まりだったのだが、同氏をロシアが保護したことで、面目はさらに潰れた。

スノーデン氏のリークによって、NSA(米国安全保障局)がワシントンとニューヨークにあるEU代表部をスパイしていたことが明るみに出た。また、同盟国であるEUの国々、特にドイツ政府の情報、また、一般国民のスマートフォンやケータイのデータも大々的に収集していたことが次々と暴かれた。

NSAが1ヵ月で保存していた個人データは、ドイツだけで5億個というから確かにすごい。Eメールもショートメールも、フェイスブック、スカイプの画像なども、皆、収集の対象だ。ベルリンのアメリカ大使館の屋根の上には、超高性能のアンテナが隠されていた(ちなみにイギリスの大使館も同じことをしていた)。しかも、解析が必要になると、一部のパスワードを解くため、マイクロソフト社までもが協力していたという。

次ページ インターネットは、元はと言えば…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事