ノバルティス事件も「個人の犯罪」で終結!  
特捜検察は今後も舐められ続けるのか

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降圧剤ディオバンを製造している製薬会社・ノバルティスファーマ元社員の白橋伸雄被告が、京都府立医大の研究チームが発表する論文に虚偽のデータを提供した薬事法違反事件は、捜査にあたる東京地検特捜部が、22日、白橋被告と法人としてのノバルティスを追起訴して終結した。

「みなし公務員の贈収賄」や「詐欺」で立件せず、「個人の罪」で決着

結局、特捜部は「個人の罪」でしか立件できなかった。

ディオバンは、年間売上高が1000億円を超えるメガヒット商品である。ノバルティスは、医師向け医療・科学雑誌などに、対談形式で記事と見紛う構成のディオバン推奨広告を打ち続けた。

そこには、「他の降圧剤より、脳卒中や狭心症を防ぐ効果が高い」とするノバルティスの意向を汲んだ論文を発表した大学教授らが登場、高額の座談会料を受け取っていた。

論文発表大学は、京都府立医大、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の5大学に及び、各大学はノバルティスから総額で約11億円の奨学寄付金を受け取っていた。

ノバルティス事件は、大学医学部と製薬会社との癒着の上に臨床試験が成り立ち、そこで効能・効果が製薬会社の都合のいいように謳われ、医薬品の販売を促進するという構図を暴くものだった。

本質は、東京慈恵会医大を除く4大学が国公立大学で、教授らは「みなし公務員」であるという意味で贈収賄事件だった。また、刑事事件として暴けなくとも、データ偽造で高い医薬品を国民に買わせたという意味では、詐欺事件であった。

見返りを得たわけではなく、解析スタッフが不足している大学研究チームの現状をサポート、それを社業に生かそうとした一社員の個人犯罪であるわけはない。問題が大きく報じられ、国民が根深い腐敗構造を知ってしまったのに、事件化できないでは済まされない。そこで、直接、データを改竄した白橋被告に罪を被ってもらったわけである。