「日本では、家族が子どもを社会に送り出すプラットフォームになっていない」---安倍昭恵氏が主宰する「UZUの学校」開校式レポート【前編】

佐藤 慶一 プロフィール
左から、米良氏、仁禮氏、松田氏、森氏、品川氏、安倍氏

子どもは大人を批判的な目で見ている

「教育のいま」について話し合うセッション。モデレーターの米良氏はまず、「学校と家庭の問題点」について聞いた。現在、高校2年生で会社を経営する仁禮(にれい)氏は、「なにかやりたいときに、学校へ許可をとる際、学校のなかでも縦割りが起きていると感じる。子どもたちがやりたいことがあるのに、言葉を受け取ってくれない」と語る。

NPO法人Teach for Japan代表の松田氏は、「リアルスクールウォーズ」と表現。「小・中学校でも荒れている学校があり、環境が大きな要因となっている。教師も大きな環境の一部。子どもたちがいま必要としている環境を整える活動をおこなっている」。

「問題意識をもっていても、当事者意識をもっている人は少ない」という現状があるため、現場が疲弊しているとのこと。学校が機能を果たしづらくなったいま、子どもの貧困による格差も出てきている。

学校の問題点に続いて、家庭教育の問題点についても語られた。大学生の娘をもつ作詞家の森氏は、「方針を立てて、それを曲げないということ。子どもは批判的な目で見ているし、親がやれないことを言っても、説得力がない」と自身の教育スタイルを紹介した。

子どもや若者の取材を専門的におこなう教育ジャーナリストの品川氏は、マクロな視点からいくつかの論点を挙げた。「まず、自立をふまえたしつけがされていない。アメリカでは、家族が子どもを社会に送り出すプラットフォームになっている。また、学校でも家庭でも科学的でなく感覚的に教育がおこなわれているなか、『エビデンスベースド』な教育が必要だ」。

(左)仁禮氏、(右)松田氏

ディスカッションでは、「自立」がひとつのキーワードだった。たとえば、高校生CEOの仁禮氏のような自立した人材はどのようにすれば増えるのだろうか。

自分はラッキーだったのは、保護者や先生に恵まれたこと。幼稚園では、社会のなかでみんながどのように生きていくのかを考え、学んだ。まず、子どもたち・学校・家庭の3つが同じ方向を向き、話を聞いてくれることが大事なのではないか」(仁禮氏)

自立のために学校現場ができることについて、松田は「日本の子どもたちは、正解主義の教育を受けているため、自己肯定感が低い。学校教育では、一人ひとりの個性や強みにフォーカスできていないばかりか、先生や親は子どもが発するヒントに気付くことができていない。『承認から称賛』へと変えていくことが重要」と語った。