FOOTBALL STANDARD

二宮寿朗「代表引退、戦士たちの決断」

2014年07月23日(水) 二宮 寿朗

 代表引退――。
 ブラジルW杯を制したドイツ代表の主将フィリップ・ラームの表明には驚かされた。まだバリバリの30歳。バイエルン・ミュンヘンではボランチとして新境地を開き、今大会もアンカー、サイドバックとして、大車輪の活躍を見せた。チームを束ねるキャプテンの大役も、「ラームだからこなせた」という声も聞く。

「昨シーズン途中から、W杯を最後に引退しようとは考えてきた。僕にとっては素晴らしい10年間。これ以上のことはない」
 ラームはバイエルンの公式サイトに掲載されたインタビューのなかでこう述べている。バイエルンとは2018年6月30日まで契約を延長しており、クラブでのプレーに専念する構えだ。以前から考えていたとは言うものの、W杯優勝という最高の結果を出したことで踏ん切りがついたのではあるまいか。

名選手が大事にした引き際

 ラームのほかにイングランド代表の“顔”であった主将のスティーブン・ジェラードも、34歳で代表引退を決断。こちらはイングランド協会(FA)の公式サイトを通じて「代表のユニフォームをもう身につけることはできない。悲しい日だ」と語っている。ブラジルW杯のグループリーグ敗退で代表のキャリアを終えるのだから、その無念も伝わってくる。

 ラームは113キャップ、ジェラードは114キャップ。代表チームに多大な貢献をしてきた2人の代表でのプレーがもう見られないのかと思うと、少々残念な気もする。

「代表引退」は、世界のサッカー界では常識になっていると言っていい。
 ベテランになると、クラブと代表を両立する上でトップコンディションをどう維持するかという問題が出てくる。ただでさえクラブでの試合数が多いのに、加えて代表のスケジュールが入ってくれば肉体への負担がかなり大きくなるからだ。両立するのが難しくなると、選手たちがどこかで区切りをつけたくなるのも理解できる。

 ローマで絶大な人気を誇るフランチェスコ・トッティなども三十路を超えたばかりの2007年にイタリア代表を退いている。これはもちろん常に代表に呼ばれ続けている「中心選手」だからこそ、成立する言葉ではある。チェコ代表のパベル・ネドベド然り、ポルトガル代表のルイス・フィーゴ然り、代表での引き際というものを大事にしていた。

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