多様性を祝おう! "OSAKA AGAINST RACISM 仲良くしようぜパレード2014"
昨年に引き続き、中之島公園から出発したパレード (写真はいずれも筆者撮影)

取材・文/ 西岡研介

スタート地点の大阪・中之島公園に着くと、既に昨年を上回る数の人たちが集まっていた。参加者の多様さも、前回のそれより増していた。

中国の慶事に登場する龍や獅子が勇壮な舞いを披露し、車椅子に座った人たちの後ろにはドラァグクイーンが控え、朝鮮王朝楽団の隣には、様々な民族衣装を身にまとった「サウンド隊」・・・。一目見ただけではどこの国のパレードか分からないが、この"混在感"こそ、彼らが訴えたいことなのだと改めて思う。

7月20日、昨夏に引き続き大阪で行われた「仲良くしようぜパレード2014」。このパレードの成り立ちについては前回のルポで詳しく述べたのでそちらに譲るが、「在特会」などのレイシストによるヘイトスピーチを放置できなくなった人々が、それを阻止しようとする「カウンター」行動の中から生まれたものだ。

4年半前の事件で子供たちが負った心の傷

スタート直前、集まった参加者にパレードの行程や注意事項を説明していたスタッフで、京都に住む在日三世の「凡ちゃん」(28)が「最後に一言だけ」と語り始めた。

「今月8日に京都の朝鮮学校の事件の(大阪)高裁判決が出ました・・・」

彼の言う「京都の朝鮮学校の事件」とは、2009年12月、在特会の会員らが京都市南区の「京都第一初級学校」(当時)の校門前に押しかけ、校内の子供たちに「北朝鮮へ帰れ」、「保健所で処分しろ」と罵詈雑言の限りを尽くし、その後も街宣を繰り返した事件のことだ。

Callerの凡ちゃんと、伴走するサウンドカー

朝鮮学校の教師や保護者らは、我が子の尊厳と民族教育を守るため、在特会などを相手取り、学校周辺での街宣活動の禁止や損害賠償を求め提訴した。

一審の京都地裁は13年10月、在特会の会員らが在日朝鮮人の子供たちに浴びせ続けたヘイトスピーチを〈いずれも、在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下、差別発言を織り交ぜてされたもの〉と厳しく指弾。約1,200万円という異例の高額賠償を命じた。

そして二審の大阪高裁も、子供たちは〈人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を被った〉と認定。一審判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。

つまり、在特会によるヘイトスピーチは二度にわたって司法に断罪されたわけだ。が、それによって、5年前の事件で子供たちが負った心の傷が癒されたわけでは決して、ない。

レイシストたちの言葉の暴力がいかに凄惨で、それが幼い子供たちの心をどれほど深く傷つけたかについては、ジャーナリストの中村一成氏が著した『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件---〈ヘイトクライム〉に抗して』(岩波書店)に詳しいので是非、ご一読いただきたいが、凡ちゃんの言葉を聞いて、私の胸に、4年半前の自分に対する罪悪感にも似た思いが蘇ってきた。

(なぜあの時、すぐにでも現場に駆けつけ、あの子たちの"盾"にならなかったのか・・・)

おそらくパレードの参加者の中にも、私と似たような苦い思いを抱えていた「大人」が少なからずいたはずだ。凡ちゃんが続ける。

「先日、あたらめて(在特会が朝鮮学校を襲撃した)当時の動画を見たんですね。その中で一番ショックだったのは(在特会が子供たちに向かって吐いた)『お前らは、道の端っこ歩いとったらええねん』という言葉でした・・・。けれども、皆さん、今日は堂々と、道のど真ん中歩いてやりましょう! 笑顔で!」

彼がこう呼びかけると会場は一斉に沸き、それがスタートの合図になった。

レインボーカラーに彩られた太鼓を手にした「ドラム隊」
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