立花隆のセカンドステージ大学「現代史の中の自分史」講義 【第1回】---自分史作りを始めよう!

「これからの人生(セカンドステージ)のデザインになにより必要なのは、自分のこれまでの人生(ファーストステージ)をしっかりと見つめ直すことである。そのために最良の方法は、自分史を書くことである」。(『自分史の書き方』より)

熟年層や就活生を中心に昨今ひそかなブームとなりつつある「自分史」。自分の人生を知る最良の方法でもあるこの自分史の書き方のノウハウを、「知の巨人」立花隆氏が一冊の本にまとめたのが、その名もズバリの『自分史の書き方』(講談社刊)である。その一部をご紹介していきたい。

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この講義議事録は2008年に立花隆氏が行った講義内容を、受講生の一人である伊藤喜一郎さんが整理・編集し直したレジュメ(要約)です。書籍『自分史の書き方』とあわせて活用すると、いっそう理解が深まります。

セカンドステージ大学「現代史の中の自分史」講義録作成にあたって

本講義録は、2008年4月17日~2008年7月10日全13回にわたって行われた立花先生の講義の内容をまとめたものである。

講義の一受講者が授業のたびごとに講義の内容を記録し、先生にご確認いただいて講義録として発行し、受講者全員で共有したものをベースにしている。

この講義においては、各受講者は受講としながら自分史を書き進め、でき上がった部分から先生に提出すると、次の講義のとき先生からフィードバックを頂ける進め方となっていた。本講義の受講者は40数名であった。毎回毎回ほとんどの受講者が自分史を提出するので、その文書量は膨大であり、それに目を通してフィードバックをつけるのに、先生は徹夜になってしまうことがほとんどであった。そしてそれらのフィードバック内容は講義の中で全員に紹介された。作成途上の自分史を事例として使いながら、自分史作成の要点が講義されるのは、受講者にとっても非常に納得感が高く、また自分の自分史作成を加速する意識付けとなった。

講義全体の大きな流れは、自分史作成の着手から完成までの手順に従ったものであったが、講義が上記のような進め方であったことから、一つのテーマに関する説明が複数回の講義で繰り返し取り上げられ、しかもその内容がどんどん深く・細かくなっていくというものだった。また前回講義への補足も頻繁に行われた。このため講義録を単純に講義順に並べただけでは、一つのテーマに関する内容が複数個所に分散してしまい理解しづらくなるという問題があった。

それで、本講義録では、自分史作成の着手から完成までの基本的流れにしたがい、全体を10章に分け、異なる講義回に分散していた類似の内容を章単位にまとめることにより理解しやすくした。但し、あくまでも先生の発言をストレートに残すことが必須なので、受講しながら作成した講義録の記述をそのまま使い、第何回目の講義での発言なのかを明示するとともに、同じ章内では原則講義回順に並べた。類似した内容が複数回講義されたことにも意味があるので、文章を一つにまとめるようなことはしなかった。

それから、毎回の授業でいくつもの自分史本文が参照されたが、それはしばしば個人情報を含んでいたので、講義録には一般化したかたちでしか表現していない。参照された自分史本文がなくてもフィートバック内容が理解されるように努めた。

なお、講義は7月10日が最終日であったが、完成した自分史の提出締め切りは9月上旬(夏休み明け)までとされた。多くの受講者が夏休みを使って完成させた。最終講義日から更に2カ月の努力を重ねて、充実した自分史が完成したことになる。この間も、期限内完成に向けて、何人もの受講生が先生から個別に御指導御鞭撻を頂いたことを補足しておきます。

『自分史の書き方』
著者:立花隆
講談社 / 定価1600円(税別)
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セカンドステージ(これからの人生)のデザインになにより必要なのは、自分のファーストステージ(これまでの人生)をしっかりと見つめ直すことである。そのために最良の方法は、自分史を書くことだ。
立花隆 伝説の講義「現代史の中の自分史」+受講生13名の豊富な作例で、授業を完全書籍化。受講生が製作した「自分史年表」「人間関係クラスターマップ」つき。

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今までになかった「自分史ガイド」の決定版!!
立花隆 セカンドステージ大学「現代史の中の自分史」講義内容記録(内容別統合)
講義日:2008年4月17日~2008年7月10日 全13回


【目次】

1.  第1章: 自分史作りを始めよう
2.  第2章: 自分史年表を書こう、人間関係関連図をつくろう
3.  第3章: 自分史本文を書き始めよう
4.  第4章: 社会の一員として現代の記録を残す
5.  第5章: 立花隆式文章作法
6.  第6章: 本文を読み易くする
7.  第7章: 自分を見つめ直す
8.  第8章: 内容を深く・厚くしていく
9.  第9章: 大きな視点で自分を捉えよう
10.  第10章: 仕上げよう

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第1章: 自分史作りを始めよう

本章は特に記載のある部分以外は第1回講義の内容です

1. 何のための自分史か、
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(ア) ファーストステージを見つめなおす為。

(イ) 自分史は「Making of myself 」のストーリーである。

2. 自分史の出来上がりイメージ
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(ア) 代表的な自分史:日経新聞の「私の履歴書」がベスト

(1) どのくらいのボリュームか
初期の頃に比べて最近のものは量が多くなっている。
初期は10回程度、最近は30回を越える人もいる。
(2)単行本化されたもののいくつかの目次が提示される。
  1. 五島慶太(S31年4月掲載) 全部で10回
  2. 松下幸之助(S31、S51 年の2回に分けて掲載) 1回目8回、2回目13回、全部で21回)
  3. 本田宗一郎(S37 年掲載)、12回

(イ) この授業での自分史作り

(1) 授業1回で新聞1回分を書いていくイメージでやれば10回以上書けるので、それなりの自分史が出来上がることになります。
(2) 毎回火曜日までに書いたものを提出してください

3. 市販の出版物を見て、自分の今までのことを思い出す
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(ア) 世の中の出来事と関連付けて自分の過去のことを思い出すために、年表等出版物を使う年表等の出版物を使って、その時々の社会の出来事を思い出す中で、自分自身の出来事やエピソードを思い出すことが出来る。社会の出来事に自分がどのような考えや感情を持ったかということも、自分のことを思い出すひとつの方法である。

(イ) いくつかの出版物の実物を示しながら、その解説がある

(1) 日本史年表・地図〔吉川弘文館〕:中学高校の社会科の参考資料として皆使った経験がある資料。毎年改版されている。カテゴリー別に起こったことが整理されている
(2) 20世紀全記録(Chronik 1900-1986):一日単位で起きた出来事が記録されている。主要な事件の新聞記事が載っている。分厚い一冊本。
(3) 20世紀世界年表:
(4) テレビ博物誌:出来事、代表的テレビ番組、流行語等が年代毎に整理されている
(5) テレビ番組の40年
(6) その他にも多くの年表類がある。授業アシスタントの方が調べてくれた一覧表ではリストだけで2ページ以上ある。このうち10数冊の現物が提示されたが、一冊が大型・厚手なので、教壇の上からあふれるぐらいになる。
(7) 映像が語る20世紀の歴史。DVD版で、全部で20数巻。米国大統領1~2名で一巻を構成している。〔日本の首相とは違い、米国大統領の1期は長い〕。ちなみに日本の総理大臣を記憶思い出しのトリガーにすることも出来る。
(8) 写真を使って歴史をまとめたもの
(9) 号外を使って歴史をまとめたもの、などもある

4. 昔の写真アルバムをみて、過去のことを思い出す
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(1) 自分の写真を見ることで、色々なことが思い出される。
(2) 写真はその頃の社会の状況を写しこんでいる
(3) 自分の写真を使って、手短に自分のことを語ってみる。
(4) 皆さんの子供のころは写真を撮ること自体少なかったと思いますので、残っている写真の枚数は少ないと思いますが、ぜひそれを探し出してください。
(5) 自分史の中に写真をはめ込むことで訴える力が大変と増します。写真一枚が多くのことを語ってくれます。

5. 思い出したことをまとめて年表をつくる
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(1) 自分が生まれたときから今時点までの期間で自分の年表を作る
(2) 自分の記憶を呼び戻す為に先ず自分の年表を作るのが良い。思い出したことを年表に書き落していくと、他のことも思い出されてくる
(3) 歴史は4次元(3次元空間+時間)というが、自分史の年表はこのような4次元ではなく、別の視点での4次元〔多次元〕でまとめる

1. 人間関係の視点
人は人間関係の海の中で生きている。この人間関係が時間とともに変わる。 人間関係という視点〔次元〕がひとつある。人間関係の最初は親、更には先 祖代々の人である。Making of myself において、先祖代々の人の影響を どの様に受けて来たかと言うところも自分史に入ってくる。

2. 自分の内面形成の視点
Making of myself の自分と言うとき、勿論自分の身体という視点もある が、より大事なのは自分の内面〔Mind:心、精神〕がどのように形成されて きたかと言うことが重要である。マインドは、知・情・意とも言い表せる。 自分史はマインドを語ることが重要である。
(ア)  情は五感を通して刺激されて心の中に起こる。目で見てきたことの大きな思い出、印象に残る音など。
(イ)  知では、本との出合い、どんな本を読んできたか、なども重要である。

3. 空間移動の視点
 どこに住んでいたか、それは自分にどのような影響を与えてきたか。

以上、自分の歴史を整理してみるのに多様な軸〔次元〕がある。軸別に分類した、自分の歴史年表を作ってください。

6. 重要なエピソードを洗い出す
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(1) 自分の歴史〔思い出〕の中に核になるものがある。自分にとって重要なエピソード。エピソードを洗い出していく。この授業が終わるまでに、エピソードをいくつか重ねて、そして全体を統合すると自分史になる。

(2) 生きるということは、人間関係の海を泳ぎ続けるということ。自分史はその航海日誌と言える。航海は船出から始まる。自分史は生まれ・育ちから始まる。最初の一回目として、生まれから、小学校卒業あたりまでの自分史を書いてみて提出してください。

(3) 書こうとして書けなければ、語ってみるのも1つの方法です。ちなみに日経新聞の私の履歴書は本人が書いたものは少なくて、多くの場合は本人が語って日経の記者がそれを文章にして、最後に本人がチェックして出来上がるというようになっています。

7. 自分史は誰のために書くのか (第5回講義)
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(ア) 自分のために書く

(1) 自分のことを語っているうちに自分のことがより良く分かってくる。書き込めば書き込むほど内容が濃くなっていき自分にとってより多くの気づきを得られる。
(2) 自分と自分の親との関係のことを書くうちに自分の親のことがより良く分かってくる。「自分の親の自分史を書くことになっていると気づいた」と感想を寄せてくれた方がある。それがまた自分の今後を考えるのに繋がる。

(イ) 自分の子孫のために書く

(1) 自分の“子供の頃のこと”は自分では良く分からない。自分の親族〔先祖〕のことも親から聞かないと分からない。しかも知りたいと思い始めるのは年を取ってからである。子供のために、このような情報を残しておく。これが自分史を書く2つ目の目的である

(ウ) 自分の子供世代の人々、孫世代の人々のために書く

(1) 例えば戦争体験。此処にいる人は年齢により差があるが、皆凄い戦争体験を持っている。これは伝えなければ、残らない。
(2) 旧家も同じ。旧家が持つ色々な事を総合すると、その時代のことが見えてくる。
(3) 自分史の各事柄の中にそのようなことが当然入っている。 



●立花隆さんも登壇!

子供からシニアまで楽しめる生きた証のお祭り『自分史フェスティバル2014』を、8月12・13日の2日間、品川区の大井町駅前のきゅりあんで開催します。
今年も、自分史フェスティバル2014実行委員会 、自分史活用アドバイザーが力を合わせて自分史のお祭りを盛り上げます。また、クラウドファンディング、facebook、twitter、リンクバナーでの応援も大歓迎です。
【開催概要】
日  時: 2014年8月12日(火)と13日(水)
会  場: きゅりあん 1階、5階、6階(品川区立総合区民会館) 
アクセス: 東京都品川区東大井5-18-1
最寄駅 : 大井町駅徒歩一分(JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線)
特別協力: 朝日新聞社  和田誠
主  催: 一般社団法人自分史活用推進協議会 
詳  細: http://www.jibun-shi-festival.net/
Facebook: https://www.facebook.com/jibunshifestival
Twitter : @jibunshifes2014
8. 参考図書の紹介
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(ア)二十歳(はたち)のころ 立花ゼミ『調べて書く』共同製作
1 及び 2立花隆・東京大学教養学部立花隆ゼミ 共著

(イ) 思索紀行 ぼくはこんな旅をしてきた
立花先生の本。一部が紹介される。まさに立花先生の自分史の一部。

9. 参考図書、DVDの追加 (第6回講義)
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(ア)「シズコさん」 佐野洋子著
著者が自分の母親のことを書いた本。なお佐野洋子さんはベストセラー絵本「100万回生きたねこ」の著者

(イ) DVD あの日、あの時・・・なつかしの昭和
2年ごとに一巻 ニュース映画を編集したもの

(ウ)昭和二万日の全記録
一日刻みで、何が起きたか書いてある。2~3年で一巻

10. これから自分史を書いていくための為の準備
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(ア) この授業では毎回自分史を書いていく、自分史を書く為のデータを集めて紙の上に残していくことも当然出てくる。これら作業の用紙はA4 サイズに統一しておくと便利。

(イ) 作ったものはクリアーファイルに差し込んで整理していくと良い。薄めのものを用意すること。

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