インターネットによって、文化の形成モデルの主流が「伽藍とバザール」のバザール型へと急速に移行してきている。
「伽藍とバザール」というのは、LinuxのようなオープンソースのOSが登場してきたときに使われた言葉だ。伽藍は教会の大きな建物のことで、バザールは市場のこと。以前はソフトウエア開発というのは、巨大企業が請け負い、緻密に全体の設計図を作り、スケジュールに従って粛々と組み立ててていくというやり方が採られた。これは今でも大企業のアプローチとしては存在している。まるで教会の建物を作るような壮大な方法である。
しかしこのような伽藍方式は、途中のどこかでだれかが失敗したり遅延したりすると、がらがらと全体が崩れ落ちてしまう可能性がある。あまりにも隙間なく設計図が組み立てられているため、柔軟性に乏しい。
いっぽうでLinuxのようなオープンソースの手法は、プログラムのコードを開放してしまい、多くのプログラマーが参加し、よってたかって好きなところだけを作って全体を組み上げてしまおうというアプローチだ。一見、アナーキーで乱雑なように見えるが、実はこのほうが柔軟性が高く、堅牢で安全だということは過去のさまざまな成果として証明されている。