企業・経営
東急不動産を「いわき市100億円事業」から
撤退させた「現社長署名の契約書」流出騒動

流出した不可解な契約書。東急不動産の新社長といわき市の土地の所有者らが署名捺印

東急不動産をめぐる不可解な契約書が出回った

東急不動産の決断は早かった。疑惑表面化から2ヵ月もたたないうちに100億円事業計画から下りた。

「ミステリー」というしかない進出から撤回までの過程を辿ってみたい。

福島県いわき市にある「新たいらカントリークラブ」というゴルフ跡地に関する不可解な契約書が出回ったのは、今年4月以降のことである。

これが株主総会で取り上げられたら間違いなく紛糾、新任社長の三枝利行氏は追い詰められる――。

不動産業界ではそんな情報が流れた。その直後から東急不動産の瑕疵を取り上げ、揺さぶる動きが顕在化。同社は6月には撤退を決断、同月20日、土地の一部を戻した。

東急不動産の計画は、「新たいら」の跡地に、永住できるレベルの住宅2000戸を建設、学校、スーパー、病院などを備えた街づくりだった。

東急不動産グループは、「東日本大震災復興支援プロジェクト」に取り組んでおり、理念に叶うものだった。

しかし、震災復興にかける強い思いと、事業を東急不動産の手で確実に進めるという意欲が、イレギュラーな契約に繋がった。

「新たいら」の所有者である愛媛県松山市の不動産会社と、購入者である北海道函館市の観光会社が、今年3月4日、「土地売買契約書」を締結。そこに「立会人」の形で、東急不動産事業創造本部取締役常務執行役員(当時)の三枝利行氏が、署名捺印していた。

こうした業者間の契約に、東証一部に上場する東急不動産ホールディングスの中核である東急不動産の役員が、「立会人」となることはあり得ない。契約不調の際、損害賠償を連帯で求められるなど、リスクを負うことになるからだ。