130以上のメディアが集結!年に一度のZINEの祭典が米ポートランドで開催
2014年7月12日、13日に米オレゴン州ポートランドで開催された「ポートランド・ジン・シンポジウム

ZINE(ジン)とは、自作の文章やイラスト、写真などを使って、個人が製作する小冊子のこと。コピー機やプリンターとホチキスさえあれば誰でも気軽に楽しめる創作活動として、アート、漫画、詩集、写真集、旅行記など、幅広いジャンルにわたり、1990年代以降、米国西海岸を中心に広がってきました。

そんなZINEコミュニティにおいて、とりわけ強い存在感を放っている米オレゴン州ポートランドでは、ZINEのためのイベント「ポートランド・ジン・シンポジウム(Portland Zine Symposium)」が、2014年7月12日、13日の2日間にわたって開催されました。

2001年から毎年7月に実施され、14回目となる今回のイベントには、フェミニストの視点からメインカルチャーを批評する非営利メディア「Bitch Media」、文芸誌「Two Plum Press」、ホラーやスリラーに特化した「Grimoire Press」、アートと漫画が融合するユニークメディア「mixtape comics」など、130を超えるZINE製作グループが出展。

イベント期間中、一般読者はもちろん、書店の仕入れ担当者らも無料で入場でき、それぞれのZINEのテーマやメディアのコンセプトなどを製作者から直接聞きながら、個性豊かなZINEをひとつひとつ手に取って品定めしたり、好みのZINEを買い求めたりしている姿が多く見受けられました。

ポートランド・ジン・シンポジウムの会場の様子

個人の創作活動を支える場、著者と読者をつなぐ場

ポートランド・ジン・シンポジウムは、有志によって運営されていますが、中でも、「IPRC(インディペンデント・パブリッシング・リソースセンター)」は、長年、ポートランドのZINEコミュニティを支え、盛り上げてきた立役者として欠かせない存在です。

IPRCは、1998年に設立された、出版物を製作する個人や独立系メディアのための非営利団体。紙メディアの製作に必要な場所やツールを会員向けに提供しているほか、ワークショップを定期的に開催し、ZINE製作に必要な知識やスキルの教育にも積極的に取り組んできました。広々とした作業スペースには、コピー機やスキャナー、パソコンはもちろん、裁断機や製本機、活版印刷のツールなどが備えられ、さながら、ZINEのための“コワーキングスペース”のよう。

また、米国最大のZINE専用図書館「ZINE Library」も併設されており、これまでポートランド・ジン・シンポジウムに出展した個人・グループのZINEを含め、8,500冊以上が保管されています。

ポートランドにあるZINEのためのパブリックスペース「IPRC」

ポートランドでは、地元の書店も、ZINEの流通に寄与しています。市内最大の独立系書店「Powell’s Books」では、ZINE専門コーナーが設けられているほか、「Reading Frenzy」や「Microcosm Publishing」のように、ZINEや独立系出版物を専門に扱う書店もあり、ZINE製作者や独立系出版社と一般読者をつなぐ役割を果たしているのです。

ポートランドの独立系書店「Reading Frenzy」

出版社を介さずに個人で出版する「セルフパブリッシング」は、電子書籍の広がりとともに、近年、また注目を集めつつあります。

その元祖ともいえるZINEとZINEにまつわるポートランドのコミュニティに実際に触れ、個人の自由な創作活動を支えるプラットフォームと、著者と読者とを直接的・間接的につなぐ場が、バランスよく共存することこそ、紙メディアにも、デジタルメディアにも、求められることなのではないか、と感じました。
 

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら