社長の風景

伸びる企業の経営者には強い危機感がある。最悪を想定して最善を尽くせるか。「経営者」は、社を継続して栄えさせる「継栄者」であるべき。---キュービーネット 北野泰男

2014年07月24日(木)
週刊現代
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「10分の身だしなみ」のコピーで知られる『QBハウス』。料金は税込み1080円で、シャンプーはせず、カット終了後はエアウォッシャーで毛くずを吸い取るなど、時間も価格も手軽なサービスで革新を起こした。他ブランドも含め国内外566店舗にまで成長した同チェーンを運営する「キュービーネット」社長は、創業者・小西國義氏らの後継として'09年に就任した北野泰男氏(45歳)だ。


きたの・やすお/'69年、大阪府生まれ。大阪外国語大学を卒業し、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。'05年にキュービーネットへ入社し、'09年より現職。社員によると「よく研修センターに行き、自分の髪を研修中の理・美容師に切ってもらう」という人情派。年間延べ1600万人を超える来店客の期待に応えようと努力する ※キュービーネットのwebサイトはこちら

熟達

弊社の技術スタッフ(理・美容師)は上手ですよ。毎日、一般のお店の5倍近くのお客様の髪をカットしていますからね。人が何かに熟練していくときって「量」も大切じゃないですか。

他人本位

常に「答えはお客様の中にある」と考えています。たとえば弊社には、元々1万円以上の料金で施術していた美容師も転職してきます。彼・彼女らの多くは「自分の技術力を見せたい」という気持ちに駆られるようですが、お客様の多くは「無駄な時間を費やさず、数週間前の髪型に戻したい」とお考えなのです。常々「自分ができること、やりたいことより、望まれることを意識しよう」と伝えています。

トリビア

QBハウスは法律上の美容所と理容所が混在しています。外見もサービスも同じですが、理容師と美容師は一緒に働けない、という決まりがあるのです。だから、駅ナカや空港など、男性客が多く、10分を超えないよう注意すべき店舗には理容師を、ショッピングセンターなど、女性客や髪形を変えてほしいお客様が多い店舗には美容師を配属しています。

ビジョン

私を変えたのは、大学時代、南仏を旅していたときに知り合った台湾人の友達に言われた「お前みたいなゆるい日本人が大嫌いだ」という言葉でした。彼は旅をしたくとも、(台湾と国交がない国が多いため)日本人のような自由はない。そんな中でも「将来、台湾のリーダーになって世界と交わりたい」とフランスに留学しにきていたのです。一方、私は自分のビジョンさえはっきり答えられない状態でした。「明確なビジョンもなく、限りある時間を無駄に過ごしているのか?」と言われても返す言葉がなく、自分の目的意識の低さを痛感した一瞬でした。

銀行にて 誰にでもわかる文字で数字を書く、などの基本を徹底的に教わった銀行マン時代の写真。生活レベルの上げすぎはよくない、という教訓も

知恵

少しでも長く彼と時を過ごしたいと、滞在先のニース(南仏の保養地)でお金を稼ぐことにしました。このとき、日光浴を楽しむ人たちを見て、甲子園球場の名物である「かちわり氷」のようなものを低価格で提供すれば売れるのではないかと計画を立てました。原料は水だから安い(笑)。海岸近くの飲食店で皿洗いをしてアルバイト料がわりに飲料水をわけてもらい、凍らせ、袋に小分けにすると、海水浴場の端から端まで走って売るほどの人気になりました。「知恵で人を喜ばせるって面白いな」と思ったのはこのときです。

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