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経済専門家28人に聞いた すべて実名「5年先が見えている会社」「30年先を読んでいる会社」「目先のことで手一杯の会社」

サントリーとタケダの事例でもわかるように、先を見据えた決断をできるかどうかが企業の生死を左右する時代に入った。では、いまの日本企業全体を見渡して「5年先」「30年先」までを読んで経営している会社はどこなのか、逆に目先のことで手一杯な会社はどこか。経済に精通するプロ28人に挙げてもらい、得票数の多かった企業をランキングでまとめた(上表)。

「5年先が見えている会社」にランクインした企業を見ると、「ユニクロを展開するファーストリテイリングは'14年3月に香港証券取引所に上場するなど、柳井正会長兼社長がグローバル展開の布石を打ち続けている」(経済ジャーナリストの片山修氏)、「鈴木敏文会長率いるセブン&アイHDはシニア層や単身世帯の拡大を先取りする製品開発ですでに成功。時代を先読みする力は日本企業の中でも随一です」(岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏)と、カリスマと呼ばれるトップの力量が評価されていることがよくわかる。

また、「変化のスピードが速く先を読むことが難しい中で、自らが市場をリードできる事業に注力している企業も先が見えているといえる。ソニーのイメージセンサ事業は圧倒的な技術的優位性を獲得しており期待大」(TMR台北科技代表の大槻智洋氏)。

知る人ぞ知るすごい会社

同じ理由で選ばれている企業を見ると、「東レは高級車や航空機向けに需要旺盛な炭素繊維の技術力が抜群。電気自動車用リチウムイオン電池や燃料電池の開発にも積極的」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)、「村田製作所のコンデンサは世界トップシェア。スマホ、車載用機器だけでなく、今後は医療分野でも裾野が広がっていく」(産業タイムズ代表の泉谷渉氏)。

さらに、「イビデンは創業100年超の岐阜県の企業で、ディーゼルエンジン用の微粒子捕集フィルターの世界的メーカー。ディーゼル自動車の再評価を見越した好判断に目を見張る」(経済ジャーナリストの塚本潔氏)など、とワクワクさせられる企業ばかりが並ぶ。

「日本で唯一上場しているコンタクトレンズ会社のシードは、花粉症用レンズ開発で一歩も二歩も他社をリード。クオリティの高さから海外展開も急ピッチで期待ができる。表中にはないが、メッキ薬品で一人勝ち状態のJCUも、優れた技術力で米アップルや韓国サムスンのスマホに採用され続け、国内の自動車メーカーはほぼすべてに納入している」(スプリングキャピタル代表の井上哲男氏)

もちろん、「富士フイルムHDのように、本業を何度でも変えて生き残るカメレオン経営ができる会社も強い」(楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之氏)。たとえば「ホンダは小型ビジネスジェットに挑戦しており、すでに受注は100機以上にのぼる。メンテナンスなど長期に安定的な利益を見込める事業としても期待できる」(前出・片山氏)というように、未来の事業の柱を着々と築く企業は「先が見えている会社」といえるのだ。

「エネルギー革命で今後5年で劇的に需要が増えるLNGプラントにおいて、グローバルな評価をいち早く確立させている日揮。2020年に向けた東京の都市価値向上に向けて先手を打つことに成功している三菱地所も有望です」(セゾン投信代表の中野晴啓氏)

一方で、「5年先」と「30年先」にランクインする企業の違いは、「自ら市場やトレンドを作れるか」(前出・塚本氏)、そして「ひたすら挑戦し続ける会社かどうか」(多摩大学大学院教授の徳岡晃一郎氏)だという。

その点、「トヨタはハイブリッド、プラグインハイブリッドでダントツの企業でありながら、次世代燃料電池車の開発にもいち早く着手している。三菱商事も世界経済の変化に柔軟に対応しながら業容拡大してきた実績があり、今後も世界経済のリスクにベット(賭け)をしながら着実に儲け続けることができる」(いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏)。さらに、「時代の変化を的確に予測し、事業領域をハイテク分野から自動車・産業機械などに拡大してきた日本電産も、30年後には大市場になっているサービスロボットでメジャープレイヤーになれる手を打っている」(前出・窪田氏)という。

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